“ガラスの器”はそうめんに合わない?普段の料理こそ映える、食卓が華やぐ!【インテリアスタイリストの器選び】

同じ料理でも器が変われば味わいも違って感じられるもの。インテリアスタイリスト・中里真理子さんお気に入りのガラスの器をご紹介。自由な発想で色ガラスの器を使えば、食の楽しさがグッと広がります。

PROFILE

中里真理子/なかさとまりこ

インテリアや器を中心に、雑誌や広告でライフスタイル全般のスタイリングを手がける。丘の上に建つ素敵なヴィンテージマンションで、グラフィックデザイナーの夫と、双子のお子さんと4人暮らし。

組み合わせの妙、色ガラスを日常使いで

高校生の頃にアメリカで見つけたパイレックスの古いメジャーカップに魅せられて以来、ガラスを集めているという中里真理子さん。リビングには、三角フラスコやビーカーなどの理化学ガラスもたくさん。花を飾ったり、文具や雑誌を入れたりと、部屋にしっくりなじんでいて、中里さんのガラス愛が伝わってきます。

「パイレックスの次に夢中になったのが理化学ガラス。工業デザインらしいシンプルな美しさの中に主張があって、なおかつ大ざっぱに扱っても気にならない、繊細でないところも好き。どこに置いても、何と合わせてもマッチするのがガラスの魅力です」

色、形、透け感を楽しむガラスの器。

中里さんのガラスコレクションの一部。北欧のガラス、民芸の吹きガラスのほか、サンフランシスコで暮らしていた18年前にスリフトやフリーマーケットで購入したという器も、現役で活躍させているそう。

 

きれいな色ガラスの器は、18年ほど前に住んでいたアメリカのスリフト(慈善団体が運営するリサイクルショップ)で購入したものや北欧のガラス、日本の民芸店で買った作家ものなど。

「数は多くないし、高価な器もありませんが、20年近く愛用している古いものも大事にしながら、いろいろな料理に使い回しています」と中里さん。聞けば、特に色ガラスが好きで集めているわけではないとか。

「持っているガラスはそれぞれ色も形もバラバラだし……どんなタイプの器が好きなのかひとくくりに説明できないのですが、ガラスのものは直感でいいな、と思ったらすぐ買ってしまいます。この作家のものだからとか、こんな料理をのせようとかイメージして買うことはしないですね。ものありきで、買ってから使い道を考える。それが楽しいんです」

「こだわって選んだから、全部、使います」

家族のために食事作りは毎日。

美しいガラスは見えても絵になる。「枚数を揃える買い方をしなくても統一感が出るのもガラスの魅力」

中華皿と合わせると食卓がより華やかに

中華皿と合わせると食卓がより華やかに。

ガラスの器というと、のせる料理がワンパターンになりがちで、夏に出番が多いイメージですが、中里さんは季節に関係なく、普段の食卓に並べているといいます。

「逆に、そうめんにガラスは使わないかも。むしろ、から揚げとかコロッケとか普通のおかずの盛り付けに使うのが楽しいし、私らしいと思って。組み合わせる器によっても華やかになったり、モダンになったりと印象が変わるので、どんどん普段使いすると、定番料理でも新鮮な気分になりますよ」

その一例として披露してくれたのは、ガラスと中華皿のコーディネート。パープルのガラス皿に春巻きを、中華皿には蒸し野菜、という逆転の発想は、盛り付けのヒントになりそう。

「色ガラスは透け感があるのが使い勝手のいいところ。揚げ物のような重たい料理も軽やかに見えるし、テイストの違う器や色柄の器と合わせてもごちゃごちゃしないですっきりまとまります。ガラスは熱やキズに弱く扱いにくいのでは?と思う人も多いのですが、揚げ物程度の温度であれば耐熱でなくても意外と平気です」

透け感と艶やかさがみずみずしさをプラス

さらに艶っぽいガラスは乾きものとの相性も抜群だとか。

「色ガラスのお皿にチョコレートやクッキーを入れると、みずみずしい感じがしておもてなし感が出ます。スーパーで買ったお菓子も高級そうに見えるんですよ。透明なガラスならパンをのせるのもアリ。いつもの朝食がおしゃれっぽい雰囲気に」

ガラスはそのデリケートさから、よそゆきのイメージがありますが、洋服と同じように自由に楽しめばいい、と中里さんはいいます。

「シルクのパンツをカジュアルに着る、みたいな感覚で、もっと気軽に他の器と組み合わせたり、いろんなものをのせたりして遊んでみるといいと思う。家で使うものだから、派手だっていいし、失敗してもいいじゃないですか。棚の奥にしまいこんでたまに使うだけじゃもったいない!〝ガラスはこう使うもの〟と用途を決めずに自由な発想で、やったことのないことにトライすると、食の楽しさが広がると思います」

パンをのせたお皿は大江戸骨董市で見つけたヴィルヘルム・ワーゲンフェルトのカップセットのソーサー。カップは友人が購入したそう。

クッキーを入れた器は長野県伊那の吹きガラス工房「スタジオプレパ」のもの。鮮やかな赤の器は、「イッタラ」ティーマのデザインで知られる北欧のカイ・フランク。

ガラスと中華皿はよく組み合わせているそう。染付の角皿は高知の日曜市で見つけたもの。ガラスはカイ・フランク。万能で飽きのこないデザインが魅力。

『クウネル』2023年7月号掲載
写真/柳原久子、取材・文/今井 恵、矢沢美香

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『クウネル』No.121掲載

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