【松永加奈のフランス便り54】掘り出し物にお宝も?旅行者も楽しいパリの蚤の市

松永加奈 ブロカント

在パリ6年のクウネル・サロンメンバー松永加奈さんのフランスレポート。今回はパリに行ったら、一度は訪れたい「蚤の市」などの古いもの探しについて。そこには一期一会のワクワクがあります。

オリジナリティを求めるフランス人は、使い込まれた雑貨や昔のデザインのものが大好き。そこに秘められたストーリーへの関心も高く「長年愛用されてきたものこそ価値がある」という考え方は、1つの文化でもあります。歴史的建造物から風情ある日用品まで、フランスで「古いもの」は身近な存在です。

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とある広場の蚤の市にて。テーブルに広げられたシルバーのカトラリー。こちらのようにクレジットカード対応のお店もあります。
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コレクターもいるというフェーブ(ガレットデロワの中に入った陶器の人形)は未使用のBOX入り。この後別のお店で使用済みの安い同じものを発見。
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本や図鑑専門のお店もあります。かなり綺麗な状態で出されていました。
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古いキーホルダーを見つけたマダム。「どうやって付けたらいいの?」と店主に訊ねているところ。
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古いアイテムを指すときに使われる言葉が「Antique(アンティーク)」と「Brocante(ブロカント)」。前者は100年以上経った工芸品や美術品など希少価値のある「骨董品」、後者はちょっと古くて味わいのある「古道具」(ガラクタ)のことだそう。価値は異なれどいずれも唯一無二の品。身近な人から受け継ぐ…ということができなくても、どちらもショップや常設の市場、週末に開かれる蚤の市など、いろんな所で新しい持ち主を待っています。場所によって扱う物や並べられ方もさまざま。選び抜かれたエリート級の美術品や家具、食器やカトラリーが揃うコレクター向けの専門店…もありますが、専門知識がない私には敷居(もお値段も)高いので、もっぱら蚤の市や気軽なブロカントショップ、リサイクルショップを覗いています。

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いろんな店先に置かれているダンボールには、なんだか分からないガラクタがいっぱい。でもたまに欲しいものがあるんですよね。
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店主のセンスが光るブロカントショップ。パリには古着のお店も多く、年代物のオートクチュール専門店は見るだけでも楽しいです。
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統一感のないアングラな雰囲気が漂うお店も侮れず。ものすごいお宝は(多分)ありませんが、高級アンティークショップにはない面白さはあります!
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地方のブロカント巡りが好きな友人からの1枚。「いいものを見つけるなら朝イチが勝負」とのこと。価格もパリより地方の方が断然安いんだそう。
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ばらばらのカトラリーの同じデザインを探す人たち。似ていても微妙に違ったりするんですよね。
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斬新なコートかけ?何かの蹄、であることは間違いない…。果たしてどんな人の手に渡るのか気になります。
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パリへ来てから、新品にはない「古き良きもの」の魅力を知った私。お目当てのものを探しに行く、というより「うれしい出会い」を求めて、あっちへふらふら、こっちへふらふら。通りがかりのお店に立ち寄ったり、蚤の市を歩くだけでも楽しいのですが、ブロカント好きな友人曰く「予算と欲しいもののイメージは常に持っておいた方がいい」のだそう。確かに、雑貨や食器がずらりと並んでいると、テンションが上がって頭がクラクラしてしまい、うっかり好みのものを見逃しがち。価格も場所によって全然違うので、自分の中で価値を決めておくことは極意だなと思います。そして値段交渉も大切。私は得意ではありませんが、「これとこれで●ユーロにして」「これフタがないから安くして」と必ず一度は勝負。いつもプチプラなものばかり狙うので、勝率は…まあ五分五分といったところでしょうか。

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友人がクリニャンクールで買ったシルバーのカトラリー。イメージしていたというナイフレストが見つかり、現金値引きしてもらったそう。
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いつかのダンボールの中から見つけたフランスのお皿。3枚5€が3€に。最近調べたら結構良いものでした。毎回どこで作られた物かは確認しています。
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先日購入したフランスらしいデザインのお皿。左下は「少し欠けているけどよかったら」と店主のマダムがプレゼントして下さいました。
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友人が地方ブロカントで買ってきてくれた鋳物ホーロ鍋は、なんと1€!状態もデザインも使い勝手も良くお気に入りです。
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袋にごっそり詰まったフェーブから見つけたかわいい子。店主は「1つ55サンチーム」と言っていたのに、買う時には2つでも3つでも1€、適当!
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フランスの蚤の市で驚いたのが、使用済みの古い絵葉書が売っていること。もちろん誰かに宛てたメッセージが書かれていますが、そこはスルー。家族や友人の生まれ年の消印の葉書を買ってプレゼントに添えたりするのだそう。自分の生まれ年を見つけたい…と思う一方、膨大な数があって、探すのはなかなか大変。これには気合いが要りそうです。

一見、ガラクタしか入っていないように見えるダンボールの中を漁ると、たまに(自分にとっての)お宝が出てくることも。そこで買った1ユーロのお皿が、実は結構な価値があると分かったときは、1人にやにやしています。でも、そんな掘り出し物がなくても、年代もののアイテムを眺めれば、その国の歴史や文化が見える楽しさがあるもの。だから私は今日もまた、ふらふらと「古いもの探し」に出かけるのでした。


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