コウケンテツさんの台所探訪。目指すは、良い道具を使いこなせる料理人。

大人気の料理家、コウケンテツさんの台所には、こだわりの道具が勢揃い。しかし意外にも、料理を本格的に始めた頃から台所道具にこだわっていたわけではなかったのだとか。今回はコウさんがよい道具を使うことになった経緯をお聞きするとともに、素敵なキッチンをご紹介していただきました。

「実は最近まで、道具にこだわりなんて無かったんですよ」。 数年前までは、頂きものの包丁や、近所のスーパーで買ったフライパンで料理をしていたのだといいます。それは、コウさんのレシピを試した人が、どんな道具でも同じようにおいしく作れるように、との思いから。だから、コウさんがこだわっていたのは、安いテフロンフライパンでも、おいしく肉が焼けるとか、そういうこと。

コーヒーセットが並ぶ棚は、昔、着物を収納するために使われていたもの。
韓国のキムチなどを入れる壺は、しゃもじやサーバーなどのツール立てに。
撮影でたくさん使うバットやクロス類などは同一品でそろえて、美しく収納。
オープンキッチンの背後の棚はすっきり。ウォーターサーバーは信楽焼。写真は敬愛する長嶺輝明さんの作品 。
「掃除しやすいように 」とタイル貼りにしたキッチンは常にピカピカ。撮影で使った道具類を丁寧に拭くコウさん。「イチロー選手もこんなふうに試合後、バットを磨くのかなあ」。
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でも、道具を作っている職人さんに取材をする機会が増えるにつれ、考えは少しずつ変わってきました。「職人さんが長年の仕事で培ってきた最高の技術や、代々受け継いできた伝統みたいなものを注ぎ込んだ道具はやっぱりすごい。そういう道具を使いこなせる料理人になりたいと思うようになったんです」。道具集めを楽しむようになったのはそこからです。

「IKEA」のバンブーの仕切りに合わせて、引き出しはオーダー。「 余計な隙間ができると、そこがごちゃっとしてしまうので、ぴったり収まるようにしました」。
イニングテーブルはアンティーク。クールな料理スタジオに温かみを添えている。
食器庫の棚。
奥行き浅めで物の出し入れがスムーズ。
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「使う度に、作った人や売っているお店のご主人の顔が浮かんだり、作業風景を思い出したり……。物のひとつひとつにバックグラウンドがあるのが、よい道具を使う楽しさ。でも、どこでも買える道具の便利さ、気軽さの魅力も大切だと思っています」。

『ku:nel』2016年11月号掲載

写真 松村隆史/取材・文 鈴木麻子

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