ひつまぶし、エビフライカツサンド、みそカツ。地元民が案内する間違いなしの「名古屋めし」

学芸大学の生活雑貨の店『MIGO LABO』の店主であり、フォトグラファーとしても活躍する、〈クウネル・サロン〉プレミアムメンバー石黒美穂子さん。故郷・名古屋のご当地フード、通称・「名古屋めし」を紹介してくれました。東京から新幹線で1時間半、今度のお休みに名古屋の美味しいもの巡りはいかがでしょう?

前回の朝ドラのロケ地聖地巡礼した名古屋旅。
今回は王道の名古屋めしで名古屋特有の食文化の魅力をお伝えいたします。

『いば昇』は夜の繁華街である錦にあり、昼間は静かな通りに。店が近づいてくると鰻の焼ける香ばしい匂いに食欲がそそられます。

まずは名古屋めしを代表する「ひつまぶし」を食べに『いば昇』に。
明治末創業の鰻屋さんで現在は六代目になっているんだとか。三世代が揃っていらっしゃるお客様も多い老舗です。

肝吸いや漬物など、どれも昔から変わらないスタイルで提供されており、老舗の心意気を感じます。

名物の「ひつまぶし」とはタレをかけたご飯の上に刻んだ海苔をのせ、その上に小さく切った鰻の蒲焼をのせて、お櫃で提供されるものです。

九州産の鰻は蒸さずに備長炭で香ばしく焼く関西風。柔らかくて香ばしく、思い出すだけで喉が鳴ります。また、お米は弾力のある、粒のしっかりした岐阜県産。甘すぎないたまり醤油のタレとの相性が最高でタレご飯だけで何杯もいけそうなくらいです。

お櫃に入ったご飯と鰻を混ぜてお茶碗によそい、刻んだねぎやわさびなど好みの薬味と一緒に頂きます。

一杯目はそのままで、二杯目は山椒、三杯目は刻んだねぎとわさびで頂くのが私の流儀。

最後はお櫃のご飯を一粒残らず取り、お茶を注ぎお茶漬けのように食べます。
薬味のねぎは水で晒してあり、爽やかな食感でサラサラと頂くお茶漬けにはなくてはならない存在。

子どもの頃、祖母やいとこたちと一緒にいば昇に行くのが夏休みの楽しみでした。お出かけ用のワンピースを着て、おめかしして出掛けたものです。祖母も母も丼派だったので私も自ずと丼を食べていました。櫃まぶしを知ったのは大人になり、東京に行ってからの事です。六代目のおくさんから「鰻本来の美味しさを味わうなら丼がおすすめです。」と鰻には絶対の自信があるお言葉を聞いて、久しぶりに丼も食べてみたくなり、娘と二人なので櫃まぶしと丼を注文。

運ばれてきた丼の蓋の文字を見たら、懐かしさが込みあげ、一気に小学生の夏休みにタイムスリップ。
味も接客も変わらないスタイルで老舗の素晴らしさに魅了されました。

お漬物のきゅうりの食感は昔のまま。幼心に肝吸いの肝が美味しいと思っていた事を思い出しました。

子どもの頃は小上がりだった椅子席の横には坪庭があり、優雅に泳ぐ池の鯉の姿を見ながら、料理が運ばれてくるのを待ちました。

いば昇

住:名古屋市中区錦3-13-22
電:052-951-1166
営:11:00 〜(ラストオーダー 14:30)
16:00〜(ラストオーダー 20:00)
休:日曜日、第2・3月曜日
https://ibashou.jp/

大須の商店街の古着屋や雑貨屋、中古レコード屋などを巡っていたら、小腹が空いてきました。大須商店街にはイマドキの食べ歩きフードもいろいろとありますが少し休憩もしたくて、喫茶店に行こうと思い立ち『コンパル 大須本店』を訪れました。
店内は昔と変わっておらず、ここでもタイムスリップ気分。

ショーケースの商品サンプルは純喫茶の証。サンドイッチやクリームソーダなどどれも惹かれる物ばかり。

レトロな雰囲気のロゴは昔と変わらず、名古屋人ならロゴを見ただけで(懐かしい!)と胸熱のはず!

エビフライサンドはコンパル発祥のメニューで名古屋名物としてメディアで取り上げられることもしばしば。キャベツの千切りと玉子焼きのコンビネーションが素晴らしく、プリっとしたエビフライにタルタルソースとカツソースのWソースでしっかりとした味付けのサンドウィッチ。

アーティストの差し入れなどでSNSの話題になることもよくあるんだとか。

訪れたのは平日の午後でしたが外国人のお客さん、常連らしいご年配の男性やSNSを見てきたような女子など幅広い客層で店内は大賑わい。隣のテーブルでは若い女性と母親と祖母の三世代が満足げにエビフライサンドを頬張っていて昭和22年創業の老舗らしい光景でした。

黄色&緑のコントラストが映えるクリームソーダとコーチン玉子サンドで平成生まれの娘はご満悦。

私はコンパル名物のアイスコーヒー作りにしばし没頭。喫茶店らしいシュガーポットやクリーマーが新鮮です。

濃いめのホットコーヒーに砂糖を入れてよく混ぜ、氷の入ったグラスに注ぎ入れ、クリームを入れる3ステップで作るアイスコーヒー。創業当時に初代が考案したメニューは今も健在。

コンパル 大須本店

住:名古屋市中区大須3-20-19
電:052-241-3883
営:8時〜19時(L.O. 18:30)
無休
https://www.konparu.co.jp/

買い物や懐かしい街の変貌を見ながら歩きまわり、楽しんだ大須エリア。
帰りに娘と「一杯飲みたいね!」と盛り上がり、大須観音の横にある居酒屋『昔の矢場とん』の味噌カツなどで名古屋めしを締めることに。

みそおでん、みそカツ、煮込みと久しぶりに本場・名古屋名物のみそづくしを満喫。居酒屋の定番ハムカツやポテサラも。

懐かしい「みそカツ」はとんかつ屋さんの安定な美味しさ。味がしっかり染みた大根や牛すじ、みそたまごなどの「みそおでん 5種盛り」はバランスよくいろいろ食べられるのでオススメです。

みそおでんの玉子の黄身が絶妙な半熟具合で黄金色に輝いて感動もの。玉子好きなら絶対に食べてほしい逸品です。

みそ味と相性の良いレモンハイとマルエフの生を矢場とんのアイコンのぶーちゃんのジョッキで頂きます。

店内には個室もあり、落ち着いて飲みたいクウネル世代にはありがたい店。

分かりやすい大須観音の真横でお持ち帰りのカウンターもあり、使い勝手の良さも魅力。

昔の矢場とん

住:名古屋市中区大須2-21-32
電:052-202-8810
営:11:00〜22:00 (L.O.21:15)
無休
https://www.yabaton.com/modules/shop/index.php?content_id=29

さて、懐かしいお店や王道の名古屋めしの定番など、いろいろご紹介してきましたがいかがでしたか?
今回の旅を通して私と娘は「茶色いものは旨い!」と「老舗の味は裏切らない!」の意見が一致しました。
美味しいものを食べて、聖地巡礼し、私は懐かしい気分に浸り大満足。娘も一緒に楽しんでもらえたようで充実の親子旅でした。

今回の相棒靴は270g と軽量でソールが柔らかくて歩きやすい ara のチェーンローファー KENT。定番的なオーソドックスな靴なので靴下で遊びながら楽しんでいます。

みそカツとジョッキ片手にずん飯尾のギャグ風な少女A を昔の矢場とんにて。

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この記事の
プレミアムメンバー

石黒美穂子

フォトグラファーとして女性誌、WEBなどで活躍。生活雑貨のセレクトショップ「MIGO LABO」(東急東横線・学芸大学駅)のディレクターも務める。
https://www.migolabo.com/
Instagram : @migolabo @ishiguromihoko

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