シンプルなのになぜ美味しい?ウー・ウェンさんの「豚肉とキャベツの炒めもの」が味わい深い理由
野菜がたっぷり摂れる炒めものは「温かいサラダのようなもの」とウー・ウェンさん。 素材の特徴や調理法のポイントを知れば、炒めものは劇的においしく、深くなります。今回は、「豚肉とキャベツの炒めもの」のレシピをご紹介します。
目 次
PROFILE
ウー・ウェン
料理家、ウー・ウェンクッキングサロン主宰。中国・北京生まれ。’90年に来日。’97年にクッキングサロンを開設し、医食同源に根差した中国家庭料理を伝える。『10品を繰り返し作りましょう』(大和書房)、『ウー・ウェンの煮もの あえもの』(高橋書店)など著書多数。
ウー・ウェンさんの健康的な食生活
ジムに入る決心をして何度か会員になったけれど、すぐに行かなくなって解約。私は運動がきらいみたいなんです」。なのに髪も肌もつやつやの健康体の根本には食事があると言います。「食養生」がいかに大切かを、小さいときから母や祖母から教えられたのです。
「毎日、自分の体に合った旬の食べ物を摂ることが一番大切。自分と家族の体を作ってくれるのは食なんですから。そこが私の料理の原点です」
コップ2杯ほどの白湯を飲むことからウーさんの朝は始まります。「お腹の中をきれいに、お腹がシャワーを浴びるような気持ちです」。朝ごはんは一日の仕事に備えてたっぷりといただきます。卵などたんぱく質に加えてパンやごはんといった炭水化物、フルーツや甘味も朝に食べることが多いそう。夕食にはお米はあまり食べず、軽めの料理で済ませます。午後7時までには食べ終えるようにしているのだとか。
炒めものは〝温かいサラダ〟 フライパンは熱した ボウルなのです
日々の食卓には、もちろん旬の食材を使った炒めものが頻繁に登場します。中国では生のものをあまり口にしませんが、炒めものは野菜や肉をバランスよく摂れる〝温かいサラダ〟のようなもの。フライパンはサラダを作る、熱せられたボウル、と考えるのです。
たとえば、よく作る豚肉とキャベツの炒めもの。ウーさんの調理法では、炒める前に具材を加熱するというひと手間をかけます。キャベツはさっと熱湯に通して。豚肉は事前にしっかり茹でてからフライパンへ。合わせ調味料で味つけします。そのあと、湯通ししたキャベツを入れて軽く炒め合わせる。ボウルでサラダを和えるように、フライパンの中で素材を融合させるという方法です。
「豚肉にはちゃんと味がついて、キャベツはさっぱり、しゃきしゃき。ひとつの料理の中で味に強いところと弱いところ、強弱があるのがいいんです」
小さなひと手間と工夫で劇的においしく変身する炒めもの、ひとつひとつ我が家のレシピに取り入れて、ウーさん流の「食養生」にならってみたい、と思えてきます。
豚肉とキャベツ、炒める前のひと手間でシンプルな料理がぐっとおいしく変化
「豚肉とキャベツの炒めもの」の作り方
◎材料(2人分)
・豚肉(生姜焼き用)200g(下味:黒こしょう少々、粗塩小さじ1/3、片栗粉小さじ1)、キャベツ大3〜4枚(約200g)、長ねぎ(斜め薄切り)10cm分、白ごま油大さじ1、太香ごま油小さじ1/2
・合わせ調味料(混ぜ合わせる)…しょうゆ大さじ1、甜麺醤小さじ1、黒酢大さじ1/2、酒大さじ1
◎作り方
1.豚肉は半分に切り、キャベツは大きめの一口大に切る。
2.フライパンに湯を沸かし、キャベツをさっと茹でてザルにあげ、水気を切る。同じ湯に豚肉を入れ、火が通るまでしっかりと茹でてザルにあげ、水気を切る。豚肉に下味の調味料を順に加え、都度混ぜて、下味をつける。
3.炒め鍋に太白ごま油と長ねぎを入れて中火にかけ、香りがたったらの豚肉を入れて、油がなじむように炒める。合わせ調味料を加えて、絡めるように炒め、のキャベツを加えてさっと合わせる。最後に太香ごま油で香りをつける。
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『クウネル』2023年7月号掲載 写真/公文美和、取材・文/船山直子
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