ウー・ウェンさん、炒めものは塩と油だけで十分おいしい!深いうま味の一皿「卵とトマトの炒めもの」の作り方

野菜がたっぷり摂れる炒めものは「温かいサラダのようなもの」とウー・ウェンさん。シンプルな具材を使った「卵とトマトの炒めもの」と「ザーサイのスープ」の作り方を伝授します。

PROFILE

ウー・ウェン

料理家、ウー・ウェンクッキングサロン主宰。中国・北京生まれ。’90年に来日。’97年にクッキングサロンを開設し、医食同源に根差した中国家庭料理を伝える。『10品を繰り返し作りましょう』(大和書房)、『ウー・ウェンの煮もの あえもの』(高橋書店)など著書多数。

ひとつかふたつ、 具材はシンプルなのがいい

2人の子どもがそれぞれ独立し、ウーさんは今年還暦を迎えます。「体調はいいんですけれど、体力は昔とは違いますね」。調理や味付けへの考え方には少し変化が出てきたのでしょうか。

「子どもが独立する前は、ごはんをちゃんと食べさせたいから、おかずになるような、ある程度強めの味の料理を作りました。オイスターソースをしっかり使ったりしてね。いまの私にはそういう味はなくてもいいの。ごはんを食べ過ぎると体が重くなりますからね」

食材や調味料もどんどんシンプルになってきたそう。

「いまの野菜はおいしくなっていて、塩と油だけで十分おいしい炒めものが作れます。日本料理では昆布やカツオのだしがうま味の元だけれど、中国料理は油が大事。油はうま味調味料なんです」

具材も多種類を使うより、1種類か2種類に絞ったほうがおいしくできるとウーさんは言います。

定番の家庭料理、卵とトマトの炒めものも2つの具材以外に必要なのはにんにくと調味料、油だけ。にんにくも入れたくなければ省いて構いません。それでもトマトのうま味と優しい卵の食感で、十分に深い味の一皿になるのです。

「卵とトマトの炒めもの」と「ザーサイのスープ」

皮と実の間にうま味があるので、トマトの皮はむかないで調理。この日は黒米をプラスしたごはんと一緒に。

「卵とトマトの炒めもの」の作り方

炒めた卵を大きめの塊にまとめて、トマトの上にのっけて蓋をするように調理することで、トマトのうま味が引き出されます。

◎材料(2人分)

卵3個、トマト中2個(約300g)、粗塩小さじ1/3、にんにく(叩きつぶす)1片、黒こしょう少々、片栗粉小さじ1(水大さじ1で溶く)、太白ごま油大さじ1と1/2

◎作り方

1.トマトは一口大の乱切りにする。

2.炒め鍋に太白ごま油を入れて中火にかけ、卵を溶いて適量入れて、鍋の片側に菜箸で寄せては卵液を加えて広げるという作業を繰り返し、ゆっくりと大きな塊を作る。

3.トマトを加え、トマトの上に卵の塊をのせてしばらく加熱する。軽く炒め合わせ、トマトの角がとれてきたら、粗塩とにんにくを加えて炒める。香りがたったら、水溶き片栗粉でとろみをつけ、黒こしょうをふる。

【Point】温度に注意

強い火力で、しかも短時間で素早く作る中華はプロのワザ。家庭料理ではじっくり鍋の中の具材の変化を見ながら、中火から弱火でおいしく仕上げることができる。

【Point】これだけで大丈夫

炒めものはそれぞれ具材の火の通り方が違う。多種類の具材を合わせる炒めものはそれぞれに下ごしらえが必要。1、2種に絞ったほうが安心。

素材の味を引き出してくれる油は大切なうま味調味料。白の太白ごま油はなんにでも使える万能選手。色の濃い太香ごま油は料理の仕上げに使って、風味をプラスするのに使う。

「ザーサイのスープ」の作り方

だしをとらなくても簡単に作れる中華風スープ。ザーサイや岩のりのうま味、油のもつコクで十分に満足できる汁ものレシピです。

◎材料(2人分)

ザーサイ30g、水 3カップ、岩のり適量、長ねぎ(小口切り)10cm分、黒こしょう少々、太香ごま油小さじ1

◎作り方

1.鍋に薄切りにしたザーサイ、分量の水を入れて火にかける。

2.沸騰したら、ふたをして2分程度煮る。

3.黒こしょう、ごま油で香りをつけて、長ねぎと岩のりを入れて火を止める。

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『クウネル』2023年7月号掲載 写真/公文美和、取材・文/船山直子

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