【住まいと暮らしvol.55】移住した笠間市で、古いものと作家の作品に囲まれてー森下豊子さん

森下さんが暮らす笠間は、陶芸の産地。「多くの作家さんが作陶されていて、陶芸が生活の中に浸透しています。器だけでなく、ぐい呑みを集めるのも好きで、ひとつひとつ愛でながら、作家さんの顔を浮かべつつ飲むお酒は格別においしいです」

栃木県益子町の造形作家、KINTAさんに作ってもらったドアがつけられた玄関。

家に入ってすぐのところにある手洗い場。「お客さんにも気兼ねなく使っていただけるように、玄関近くに設けました。洗面台は希望のサイズに、職人の方に研ぎ出しで製作してもらいました」

家の中には薪ストーブが。「ストーブはイエルカ・ワインさん作のもの。笠間の冬は寒いですが、この一台で家中が温まり、とても過ごしやすいです。オーブンが付いているので、色々なものを焼いたり、煮たりと大活躍してくれます」

キッチンは家の中心に。「オープンキッチンなので、家族や友人と会話しながら料理ができ、食材を持参してキッチンに立つ友人も多く、みんなに使ってもらえるところが気に入っています」

リビングの中心にある大きなダイニングテーブル。「ベルギーのアンティークで長さが3メートルあります。とても大きなテーブルなので、大人数の来客の際にもみんなで同じ食卓を囲むことができます。わが家を象徴するようなテーブルです」

家のいろいろな場所に、知り合いの作家さんによる作品を飾って。「この作品は、今は亡き恩師のリトグラフ作品。大切にしています。家の壁は漆喰なので、美術作品を飾るとしっとりなじみます」

森下さんの幅広い仕事のひとつが、看板制作。「支持体には古材を使い、エナメル塗料でペイントしています。古材はストックしてありますが、依頼主の方が持ちこまれることもあります」

キッチン横には気に入っている小物や、子どもたちが日々描く、何気ないアートワークを飾って楽しんでいるそう。

コーヒースタンドでも使っているエアロプレスで、毎朝コーヒーを淹れて。「これがないと1日が始まりません」

朝に食べるサラダが大好きだという森下さん。「子どもたちを送り出し、慌ただしさが落ち着いた後に食べます。写真はこごみとモッツアレラチーズに、ホワイトバルサミコ、オリーブオイル、岩塩、黒胡椒を振りかけただけのシンプルサラダ。春にはフキノトウやこごみなど、季節ならではの味覚が家の周りで採れ、味わうことができます」

鍋類は気づいたら、鉄のものばかりに。「特に鋳造の南部鉄器のフライパンが好きです。いろいろなサイズがあるので用途に合わせて使い分けています」

玄関には趣味で集めたという、神様コレクションを並べて。「まるで家を守っていただいてるようで、気に入っています」

空の表情を眺めながら、犬の散歩をするのが日課。「考え事をしたり、大好きなラジオや音楽を聴いたり、野鳥や草花を観察しながら、季節の移ろいを感じて散歩するのがとても気持ちよい。いい気分転換になっていて、私にとってはなくてはならない時間です」

森下さんが運営しているコーヒースタンド「naabe(ナーヴ)」。「笠間稲荷神社の目の前にあります。もともと飲食店だった場所が長らく使われておらず、扉も閉まりっきりで暗い場所でしたが、改装してコーヒースタンドを2年前から始めました」

店の看板や案内は、すべて森下さんがペイント。

店内の様子。「笠間の陶芸作家さんのマグカップを陳列して、選んだお好みのコップで、コーヒーを飲むことができます。お気に入りが見つかったら、取り扱いのある近隣のギャラリーさんをご紹介しています」

秋に「かさまの菊まつり」が開催される笠間市。「一昨年から、同時期にmum mum(マムマム)という文化イベントを始めました。ワークショップやライブ、マーケット、紙芝居、展覧会など、さまざまな企画をしています」

部屋やごはん、お気に入りの道具たちを本人撮影の写真で見せていただき、バトンを繋いでいくリレー連載。前回の藤本香奈さんのバトンを受けてご登場いただくのは、コー ...[続きを読む]

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