【後編】カナリアさんちのお引越し~築古賃貸を心地よく整えて~

いよいよ新居での暮らしをスタートさせた〈クウネル・サロン〉プレミアムメンバーCanaria(カナリア)さん。昭和の趣き漂う築34年の賃貸団地は、カナリアさんの毎日にどんな活力を与えているのでしょうか。前編『カナリアさんちのお引越し~私たち夫婦が都内おんぼろ団地に住み替えた理由~』につづき、後編をお届けします。

【1】待望の春がやってきた

都内の古い団地に引っ越して9か月。冬を越えて、初めての春を迎えました。わたしたち夫婦の部屋は2階ですが、1階の敷地に植えられた木々は伸びやかに生長して、私たちのベランダの手すりをゆうに越しています。

朝起きてカーテンを全開にすると、銀杏やケヤキの優しい緑が揺れ、さらにこの季節は桜が目に飛び込んできます。前の家は、大きな道路に面していたこともあって、一日中車や人の往来があり、8年間ずっと人目や騒音を気にしながら暮らしていましたが、そこから解放された喜びたるや、もう感動レベルです。

最初は、格好つけて洗濯物を外してみたのですが、結局戻して撮った一枚。生活感丸出しですが、愛すべき、わたしの日常です。

ずっと自宅前の大木を気にせず過ごしていたのですが、春の足音が聞こえ始めた3月上旬、かわいい桃色の蕾を見つけて夫と歓喜。

自宅周辺にも、都心とは思えないほど緑が多く、とても癒されます。徒歩数分のところにある巨大公園は、この時季、ピクニックを楽しむ人たちで賑わっています。広大すぎて、まだ全貌を把握できていないのですが、これから少しずつパトロールしていく予定です。

【2】畳生活のススメ

新居の間取りは2DK、和室メインの仕様です。物件探しのときに、あれだけ「ないな」と思っていた畳の部屋ですが、住めば都。南向きのベランダに面した和室の居間で、一日のほとんどを過ごしています。奥行きがあって収納力のある押入れも、大助かりなのです。

引っ越し直後、旧屋から持ち込んだ家具をとりあえず配置して撮ったひとコマ。とくに冬場は部屋の奥まで日光が差し込むため、部屋全体があたたかく、今冬は暖房の出番がほとんどないまま終了。

古いチェスト、最下段の引き出しの色が違うのは、ここだけ同じ色が揃わず自分でペイントしたため(もとは白)。

 

じつは6つのブロックに分かれているチェストを、3段ずつ積み上げています。これ、大阪で一人暮らしをしていた頃、300円ショップで出合った掘り出しモノ。自転車のハンドルに引き出しをぶら下げて、何往復もしながら持ち帰りました。

大型家具はいまのところすべて旧屋からの持ち込みですが、このランプは、引っ越し直後にIKEAで新調したもの。「和」すぎたかな……とも思いつつ、灯りの広がり方がとてもきれいで気にいっています。

好きなものを並べたスペース。こちらは寝室にて。

壁面には一輪挿しを飾っています。

じつはまだ、家具をほとんど新調していません。転勤族ゆえ、家具選びはどうしても慎重になりますね。ひとまず、ダイニングテーブルを買い替えて、憧れのソファライフも楽しみたいと思っているのですが、なかなか選べず、そもそもソファを置いてテーブルを配置すると部屋が狭くなってしまうのが悩みどころ。

かわりに、壁を飾るアートポスターをいくつか購入しました。実際に自分の部屋に飾ってみてわかったんですが、絵はもちろんのこと、フレームの印象ってけっこう大きいものですね。木製のフレームは優しく、素朴でナチュラル。ゴールドのフレームは、少し辛口で大人っぽく、モードな雰囲気なので、畳の部屋に艶が加わります。カジュアルコーデにアクセサリーをつける感覚と似ているなと、新しい発見です。

アートポスターを購入するのは、人生初。なにを買ったら良いかわからず、直感で3枚を選びました。

ポスターの下には季節ごとの花を飾って、和室との妙を楽しんでいます。

キッチンは、レトロで生活感のある雰囲気をそのまま活かしつつ、使い勝手が良くなるように思案中。とりあえず、ガラスの瓶や木のものを並べて、ブルーやオレンジの雑貨を差し色に。

強いて、新居の難点を挙げるとすれば、この二間をつなぐ引き戸の存在感が大きい点。いまのところ、リビングダイニングをそれぞれ振り分けて過ごしています。

【3】玄関と洗面所の床をプチDIY

賃貸物件なので、大掛かりな改造は難しいのですが、原状復帰可能な範囲でアレンジしたいと考えていました。そこでまずは、玄関と洗面スペースの床に、ネットで買ったリメイクシートを貼ってみることに。

両方とも、レトロでも明るい印象にしたかったので、白系のシートを選択。脱衣所の床のタイルシートは、柄合わせに少し戸惑いましたが、作業自体は楽しく進みました。淡いイエローっぽい色味の洗面台に、ペールトーンのタオルやスツール、一輪挿しの花など、パステルカラーの組み合わせを楽しんでいます。次回は、シックにブラウン系のシートも検討中。

【before】ベージュともグレーとも言えない微妙な玄関の床がどうしても気になり……。

【after】家の顔なので、すっきり明るく。ネットで吟味してこちらのシートを購入。

【before】洗面スペースの床も、なんとなく暗め。とくに水回りの雰囲気が冴えないと、テンションも上がらず。

【after】玄関同様、こちらのシートを地道に貼って、清潔感を出しました。

【4】お金としあわせのこと

この団地の部屋に引っ越しを決めるまで、不毛ともいえる長い時間を費やしたことはすでにお話ししましたが、そのときに設定していたMAXの上限値と比較して、実際(いま)のお家賃は、なんと約半分ほどに収まっています。多くの条件を諦めはしたものの、「夫の通勤時間(30分以内死守!)」、「豊富な収納力」、「緑の多い周辺環境」、「南向きのあたたかさ」などは、存分に確保されています。

ちなみにお家賃が安く上がった分の差額は、豪遊するわけでも、散財するわけでもなく、なるべく貯金するようにしています。暮らしの向きは、良くも悪くも、なんら変わりません。それが私たち夫婦の「身の丈」であり、しあわせの形なのだと思います。

★前編『カナリアさんちのお引越し~私たち夫婦が都内おんぼろ団地に住み替えた理由~』

金麦と適当なつまみを買って、近所の公園へ。桜の花びらが舞う中、子どもたちの楽しそうな声が響いていました。

★好評発売中★Canariaさん初のスタイルブック

『毎日たのしい大人のカジュアルコーデ見本帖』(エムディエヌコーポレーション)

構成/権 佳恵

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この記事の
プレミアムメンバー

カナリア

1969年生まれ。自身のコーディネートや等身大の暮らしを綴ったブログ『Canaria Style』やSNSが、大人の女性たちから人気を集める。不定期で自作のアクセサリーも販売。
https://ameblo.jp/pikoriino/
Instagram:@canaria_rs

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