俳優・別所哲也が薦める、年末年始に見逃せない話題の新作ムービー4選

いよいよお正月休み。力作&話題作が勢揃いする映画好きにはうれしい季節です。今回は、俳優であり、大の映画好きとしても知られる別所哲也さんに、オススメの映画作品を伺いました。

PROFILE

別所哲也/べっしょてつや

俳優、国際短編映画祭代表、ラジオパーソナリティ。『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(月~木6:00~9:00)は33階のスタジオから。24年2月帝国劇場のミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険』にジョジョの父親役で出演。

歴史ドラマからいまどきのラブストーリーまで

J-WAVEの人気番組『TOKYO MORNING RADIO』で14年もの間、ナビゲーターを務めている別所哲也さん。国際短編映画祭『ショートショート フィルムフェスティバル&アジア』の代表でもあり、自らが演じる人でもある、大の映画好きです。そんな別所さんに気になる年末年始の作品を聞いてみました。

まず注目の『PERFECT DAYS』については「素晴らしかった」と。

「社会の中で見えざる存在として扱われがちな、公共トイレの清掃人の日常を追いかけ、人の幸せを浮かび上がらせる。淡々とした描写なのに、役所広司さんの演技もあって、彼の人間性がしっかり伝わってきました。役者としても勉強になりましたね」

一方、『きっと、それは愛じゃない』はロンドンとパキスタンを舞台にした、現代的なラブストーリーです。

「セリフが極力削ぎ落とされている『PERFECT DAYS』とは対極にある作品。小気味のいい会話劇が楽しめます。ヒロインはイギリスの中流階級出身のドキュメンタリー監督で、幼な馴染の彼は英国籍のパキスタン人の医師。結婚や家族に対する価値観の違いが描かれ、我が身に置き換えて考えさせられますが、後味がいい」 『PERFECT DAYS』の淡いブルーを基調にした東京の映像に対して、パキスタンの原色の映像も印象に残ったそう。

「映画を観る時、その舞台にも興味を惹かれます。それぞれの土地の営み、ライフスタイルが垣間見えると面白い。『きっと、それは愛じゃない』では、隣り合った2軒が棟続きで対称的な造り。日本の長屋のようで、そこで家族同士が交流しているのが興味深かったですね」

『PERFECT DAYS』

名匠ヴィム・ヴェンダースが、東京・渋谷の公衆トイレの清掃員・平山(役所広司)の日々を描いた作品。淡々と繰り返す毎日に、思いがけない出来事が起き、平山の過去を静かに揺らす。第76回カンヌ国際映画祭にて最優秀男優賞を受賞。12月22日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー。

『きっと、それは愛じゃない』

ドキュメンタリー監督のゾーイは、幼な馴染で医師のカズが見合い結婚すると聞いて穏やかでいられない。その結婚までの軌跡を次回作として追いかけることにするが。/監督:シェカール・カプール 出演:リリー・ジェームズ、シャザド・ラティフ、エマ・トンプソンほか 12月15日よりヒューマントラストシネマ有楽町ほかで公開

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大作『ナポレオン』とミュージカル映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』

『ナポレオン』は前2作とは少し趣の異なる、スペクタクル大作です。

「重量感のある作品でした。リドリー・スコット監督とホアキン・フェニックスが描き出したナポレオンは、ヒーローというより、肉体的な劣等感もあって、自分に自信がもてない悩める人物。リーダーとして人に弱みを見せられない中、唯一自分らしくあれたのは妻ジョゼフィーヌの前でした。ところが彼女はナポレオンの抑えが効かない奔放な女性。ある種似た者同士の二人の関係がこの映画の見どころでもあります」

『ナポレオン』

フランス革命後、天才的な軍事戦略で皇帝にまで上りつめたナポレオン。妻ジョゼフィーヌとのねじれた愛憎関係の中、300万人以上の命を奪う戦争を次々仕掛けていく。しかし、その権力はいつしか毒となり……。

監督:リドリー・スコット、出演/ホアキン・フェニックス、ヴァネッサ・カービーほか 12月1日より全国公開

自らも歌って踊る別所さんにとってミュージカル映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』も気になる作品。『チャーリーとチョコレート工場』のウォンカの前日譚をティモシー・シャラメが演じます。

「短編映画では起承転結のある物語より、奇想天外で驚きのある作品のほうが面白いんですが、こういったファンタジーはその奇想天外な世界をどう描くか。先行作でジョニー・デップが演じた役を、今注目のハリウッドスターがどう演じるかも楽しみ」

こうした映画を観た後、別所さんが考えるのは「ベター・ライフ」と「アナザー・ライフ」ということ。

「映画でよりよい人生を見せられれば感動するし、自分とはかけ離れた世界を観たときは“あんな生き方もあるんだ”と刺激を受ける。さまざまな価値観の映画を観ることは、改めて“クオリティ・オブ・ライフ”、人生を考えることに結びつくんでしょうね」

お気に入りの映画本2冊。古今東西の作品から厳選した『死ぬまでに観たい映画1001本』と、セレモニーに集うスターを写した『RED CARPET』。

『クウネル』1月号掲載 写真/玉川 竜、スタイリスト/千葉 良(AVGVST)、ヘア&メイク/森川英展(NOV)、取材・文/丸山貴未子、編集/船山直子

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『クウネル』No.124掲載

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