“しっかり歩んで行って欲しい”と願いを込めた、3代で受け継ぐ時計と手書きの帯・帯留め【スタイリスト母娘の愛用品】

親しい人が 愛用していたものを受け継ぐということは、単にものだけではない、その人の想いや過ごした時間など、プライスレスな価値も共有することでもあります 。母娘、親友など、その関係はさまざまですが、それぞれの人が譲り受け、使い続けている愛用品を拝 見しました。

PROFILE

青木貴子さん

スタイリスト・ファッションディレクター
雑誌や広告を中心に活躍。ジュエリーブランド『allan』のデザイナーも務める。
Instagram : @takakoaoki33

母である青木令さんは、1935年生まれ。主婦。娘・貴子さんとは洋服のセンスが似ていて、ふたりでショッピングに行くこともしばしば。趣味は俳句。

手を加えることで、愛着も増して

古いものは丁寧に保管し、譲られたアイテムには時に手を加えて自分仕様にブラッシュアップしているという貴子さん。

「真珠の帯留めは祖母、母、私と3代ものです。帯は祖母が画家だった妹に頼み、絵を描いてもらったもの。それを母が受け継ぎ、今は私に。唯一無二の一点もので、とても気に入っています」

From 祖母→母
真珠の帯留め&手描きの帯

真珠にメレダイヤをあしらったミキモトの帯留め。購入してから優に60年は経つけれど、全く古さを感じさせないデザイン。

大倉陶園で陶器の絵付けもしていた大叔母が、帯をキャンバスに見立てて描いた船と魚。「個性的で素敵、とほめられます」

From 父
ロレックスの時計(貴子さん)、オメガの時計(母・令さん)

「ブレスのままだと、ちょっとゴツい印象だった」というデイトナ。こまめにメンテナンスに出すことで当初の美しさをキープ。

オメガの時計は鼈甲のバングルからクロムハーツのチェーンにカスタマイズ。さらにその後、ダイヤモンドを加えてブラッシュアップ。

父の形見のロレックスデイトナは、コンビのブレスレットを革ベルトに替え、出番が格段に増えたのだそう。「手を加えることで新しい命を持つというか、物自体を変化させることに面白味があり、愛着も増します」

もうひとつの時計、オメガシーマスターは、貴子さんが生まれた時に父が母に贈ったメモリアルなもの。「意味深い時計なので娘が成人した時にバトンタッチ、しっかり歩んで行って欲しい気持ちと共に託しました。」と令さん。

「母の想いも父の優しさも一緒に受け継いだ気がします。私と同じ時を過ごす得難い時計。良い時間を紡いでいこうと前向きな気持ちにさせてくれるプレシャスピースです。

『クウネル』2023年5月号掲載
写真 /目黒智子、取材・文 /井出千昌 、編集/黒澤弥生

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『クウネル』No.120掲載

センスのいいあの人の愛用品

  • 発売日 : 2023年1月20日
  • 価格 : 980円 (税込)

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