唱えれば心が軽くなる! みうらじゅんさんの「ゆるく、楽しく、機嫌よく」生きるための言葉。【vol.1】
“マイブーム”“ゆるキャラ”“いやげ物”など数多の造語を世に送り出すみうらじゅんさん。60歳を過ぎて発した造語“アウト老”も話題に。「終わりは誰にでも必ず来る」、その真理のなか「生きていくのが大変」と嘆くマチュア世代に仏教ファンのみうらさんに説いていただきます!
目 次
PROFILE
みうらじゅん
イラストレーターなど
武蔵野美術大学在学中、漫画家としてデビュー。1997年「マイブーム」で流行語大賞受賞。2003年自伝的コミック『アイデン&テイティ』が映画化され話題に。『さよなら私』『マイ仏教』『アウト老のすすめ』『ブツゾー・キッド』など著書は170冊以上。
“らしさ”を取り除けば、本来の自分に近づける。
人生というものは基本、不安続きじゃないですか。この不安から悩みが生じることも多い。だからその不安を明らかにすることをお薦めします。“不安”という漠然とした言葉は“安定”ありきなんですよ。安定など不安続きなところの“止まり木”みたいなものと考えましょう。それなのに安定に甘んじてしまったら、ものすごい大きな不安の波が必ず来ます。
そんなときは「不安タスティック!」と、大きな声で言ってみるのがいいでしょう。しょうがないときには、しょうもない言葉が意外と効くもんです(笑)。不安なときに『不安タスティック』って言える自分に「まだまだ余裕があるんだ」と脳が錯覚しますからね。
僕は幼いころから仏像が好きで、中学と高校は仏教系の学校に通っていたんです。かと言って僕は仏教の信者ではなく、あくまで“仏像ファン”でやってきました。でもね、各地で仏像を見ている内、自然と仏教の教えが入ってきたんです。お釈迦様は「すべてのものには実体がない」という真理を説かれました。
となると“自分”もないわけです。ましてや“自分らしさ”なんてあるわけない。
それなのに「自分らしく生きたいのに……」と悩んでいるのはおかしい。だったら「自分なくし」のほうが理にかなっていますよね。堂々と生きていけるんじゃないかと。
つまり、他人との関係やすべてのことが結びつかない限り、自分は存在できないということです。もし“らしさ”、があるとするなら、それは煩悩。断ち切っていけばいい。今まで“らしい”と思っていたことを取り除いて暮らしていけば、もっと楽チンになれるのではないかと思うわけです。
言葉1_「らしさ」から一旦、離れて「自分かしら?」と首をかしげてみる
そもそも自分らしさは、自ら気づけるものではなくて、周囲が「あなたらしいね」と言って初めて成立する言葉。他人の指摘で気づけるから「らしさ」なんです。それを自ら気づこうとして人は、自分らしくないのかなんて悩むんです。「らしさ」から一旦、離れて「自分かしら?」と首をかしげてみるのがいいと思います。さらに、らしさを「自分さしら」という訳のわからない言葉に変換してみましょう。すると、そんなことで悩んでいた自分がバカらしく思えてくるでしょうから。
言葉2_「自分なくし」のほうが楽チンになれる
「自分探し」という言葉を聞いて思いついた造語です。「自分なくし」とは、要するに「無我(自分を滅する)」という仏教の考え方なんです。
“探しものは何ですか?”これは、井上陽水さんの歌ですが(笑)。きっと自分探しで探しているものって、自分にとって“都合のいい自分”なんでしょう。わざわざ“都合の悪い自分”なんて探す人なんていませんよね。すなわち、自分探しとは煩悩であると。それより、煩悩の本(もと)である自分を滅していく、「自分なくし」のほうが楽チンになれると思いませんか?
言葉3_自分を信じないこと
「自分なくし」すなわち「I don't believe me.」自分を信じないこと。僕はかつて、この英字が染め抜かれたTシャツを作ったことがあります。世間では「自分を信じろ」と言うのがいいことのようになってますが、「自分なくし」を始めた者にとって、本(もと)があるのか無いのかわからない自分なんて信じようがありません。だったら精一杯やってみるくらいでいいんじゃないでしょうか。何事も信じ過ぎるとロクなことはありませんからね。
言葉4_愉快かつ、はみ出し老人の意
若い頃から“フツー”が苦手で、できるだげ“フツー”を避けるよう生きてきました。何をもっで“フツー”と言うか、よく分かりませんでしたし。人と比較したり、うらみ・ねたみ・そねみも……フツーなことなんでしょ?
年を取って思ったことは、逆にフツーにこだわり過ぎてたなってことでした。フツーでも、フツーじゃなくても面白ければどっちでもいいんじゃないかと。「アウト老」とは、愉快かつ、はみ出し老人の意。そんな余生を送っていければいいと思ってます。
言葉5_人生に勝ち負けなんてないのです
僕たちはシステム上の“たまたま”からこの世に生を受けただけ。この“たまたま”が正体なのに一体、何を悩むことがあるのか? そう考えるようにしましょう。新年に話題になる福男福女のお祭りのように、バーッと何億かの精子が一斉に走り出し、その中の“たまたま”が自分。だから、人生に勝ち負けなんてないのです。いうなれば最初から勝者なんですからね。
言葉6_比較が苦しみを生む最大の原因
人間はいくつになっても常に他人と比較して生きています。
比較しなければ、今どの位置に立っているかが自覚できないからでしょう。この世にもしも自分だけが存在するとしたら比較することはなく、苦しみも生まれないかもしれません。比較するからこそ人類は進化出来たかもしれませんが、比較が苦しみを生む最大の原因だということに気づきさえすれば楽チンになれます。〔他人〕〔親兄弟〕〔過去の自分〕と比べない「比較三原則」というものを御用意しましたが、どうですか?
比較しそうになったとき、この言葉を唱えてみてください。
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イラスト/みうらじゅん、取材・文/河田実紀
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