待望の展覧会!『ヤマザキマリの世界』東京造形大学付属美術館で11月26日(土)まで開催

ヤマザキマリ

クウネル本誌人気連載の著者であり、アカデミックな視点でエネルギッシュな作品を世に送り出すアーティスト・ヤマザキマリさん。そんなヤマザキマリさんの展覧会『ヤマザキマリの世界』が東京造形大学付属美術館で、2022年11月26日(土)まで開催されています。

その内覧会で、ヤマザキマリさんにいろいろお話をうかがいました。

展覧会を作った学生さんたちに感謝!

2019年より東京造形大学で客員教授をつとめるヤマザキマリさん。

「私の名前がついた展覧会ですが、作ったのは学生さんたち。だから学生さんたちの展覧会なんです。

自分のこれまでの作品が一斉に並ぶとなかなか照れくさくて直視できないものですね。でも、絵でここまでやってきたんだ、という充足感をもたらしてくれます。何より、この素晴らしい展示を実現してくれた学生さんたちに感謝を表したいです 」

古代ローマ人をイメージした衣装でヤマザキマリさんを囲む展覧会を作った学生たち。
古代ローマ人をイメージした衣装でヤマザキマリさんを囲む展覧会を作った学生さんたち。

企画・制作・運営は東京造形大学の教授陣の指導のもと、総勢約60名の在学生と卒業生の有志によるものです。会場には学生さんたちがこの展覧会のために作ったアートも展示されています。そのひとつがこちらのモザイクアート。

ヤマザキマリのモザイクアート
ヤマザキマリさんの作品をモザイクにして作られた肖像画。圧巻です!
モザイクアート
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このような学生さんたちの思いが詰まった展覧会は、「漫画家」「画家」「著述家」と大きく3つのジャンルから構成されています。

初公開のヤマザキマリさん幼少期に書いた絵日記や絵にも注目が集まります。

ヤマザキマリさんの幼少期の作品は必見

幼少期の絵
4歳、5歳……とヤマザキマリさんが描いた愛らしい作品の数々。
幼少期の絵
幼少期の絵
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「絵とも文字ともつかない」と自身が評する幼少期の作品は、現在のヤマザキマリさんの原点を見るような思いです。絵や漫画と文章の制作の違いをヤマザキマリさんにうかがったところ……。

「絵画と文章は私にとって二つの次元の違う表現方法です。でも、今回展示されている子供時代のらくがきや創作文から、あの頃から絵と文章のふたつを合体させる試行錯誤をしていたことがわかります。なので、漫画家になったのは至極自然な成り行きだったとも言えるでしょう」

山下達郎さんの後押しで油絵を!

ミュージシャンの山下達郎さん、落語家の立川志の輔さん、人形浄瑠璃文楽の人形遣いの桐竹勘十郎さん3名の肖像画。
ミュージシャンの山下達郎さん、落語家の立川志の輔さん、人形浄瑠璃文楽の人形遣いの桐竹勘十郎さん3名の肖像画。 立川さんと桐竹さんの肖像画は展覧会開催前日まで描き続けていたそう。
人形浄瑠璃文楽の人形遣いの桐竹勘十郎さん
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展覧会でひときわ目をひく肖像画があります。今年話題になった山下達郎さんの一枚。

山下達郎さんが11年ぶりにリリースするアルバム『SOFTLY』のジャケット用に、「十代のころから肖像画を描いてもらうのが夢だった」という山下達郎さんのオファーを受け、ヤマザキマリさんが描いたものです。

7~8年前から話はあり、1年ほど前、正式に依頼を受けたそう。

「あなたは油絵画家になりたかったんでしょ? 今では漫画で生活が成り立つようになった。だったら原点に戻ってまた油絵を描けばいい」という山下達郎さんの後押しもあったと言います。

「17歳でイタリア・フィレンツェに渡り、美術学校に入学してからは、教師のアドヴァイスで15世紀に活躍した北方ルネサンスやイタリアの肖像画の技法を先行するようになりました。

でも油絵だけでは食べてはいけません。水道や電気などのライフラインが止まるような、非常に苦しい生活を11年間送り、子供が産まれたのを機に28歳で漫画を描き始めました。それが後に『テルマエロマエ』へとつながったわけです」

17歳でイタリアに渡った時、唯一持って行ったカセットテープが山下達郎さんの『Big Wave』だったということにも大きな流れと縁を感じずにはいられません。

漫画は60歳まで続け、肖像画も描きたい。

『テルマエロマエ』の貴重な原画
『テルマエロマエ』の貴重な原画も展示されています。
山下達郎の肖像画
ヤマザキマリさんの肖像画スイッチを入れた山下達郎さんの作品ももちろん必見です。
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山下達郎さんから、落語家の立川志の輔さんと、人形浄瑠璃文楽の人形遣いの桐竹勘十郎さんの肖像画を頼まれ、本展に3点の肖像画を出品したヤマザキマリさん。これから肖像画画家へとスイッチをするのでしょうか?

「漫画はもちろん続けます。もともと60歳までは描こうと決めていたので。でも、肖像画もリクエストがあったら描き続けたい。女の人は注文が厳しいので(笑)、年季の入った壮齢期の男性を描きたいですね」

取材・文/河田実紀

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