【Parisインテリア探訪.4】夫婦ともにリタイアをして、シンプルで豊かな暮らしへとシフト。

シャンタル・ ルクレ ール=ガルニエール インテリア

リタイア後の人生、どんな暮らしを思い描いていますか?「こうしたい、やっぱりあれもしてみたい」。考え出すと止まりません。時間の流れが今までよりもきっとゆっくりしているように感じるのでしょうね。Parisインテリア探訪シリーズの最後は夫婦ともにリタイア、シャンタル・ルクレール=ガルニエールさんの素敵なインテリアたちをお届けします。

シャンタル・ ルクレ ール=ガルニエール インテリア
壁一面だけをブルーグレーに塗ってアクセントに。壁には、ヴィヴァ・ヤゾンの作品(左)、グレゴリー・マルコヴィッチの黒い絵(右)。

夫婦ともにリタイヤ生活。シャンタル・ルクレール=ガルニエールさんは、子供2人が独立し、ご自身は大好きなインテリアの仕事をこの秋に卒業しました。「最近、大好きな刺繍や編み物をするために椅子を購入したんです。天気がいい日は窓辺に移動させて外を眺め、明るい日差しの下で作業できるのでとても重宝しています」

今年になり、当たり前にできていた観劇や映画鑑賞帰りの友人との語らいなどが一瞬でできなくなり、その生活の変化に最初は戸惑いを感じました。

「でもすぐに自分たちのリズムを取り戻し、毎朝30分ジョギング、午前中に20分のヨガをすることをルーティーンにし、生活を整えられました」食材や日用品の買い物には夫とでかけ、料理を一緒に作る楽しみも。

「今は夫婦揃って自由な時間がたくさんあります。時間がなくて見逃していた映画を観ることができるのが喜び。『ロスト・イン・トランスレーション』や『となりのトトロ』は、大好きで何度も繰り返し観ている作品です」

この家は、長男が1歳のとき、独立した子供部屋が必要だと探し、出合ったアパルトマンです。「6階で見晴らしや風通しがとてもよく、家の両サイドから朝日と夕日が眺夫められるのが、この家に決めた理由」それから33年。すでに必要なものは所有し、いつの間にかものにあふれた生活を送っていると気づき、ロックダウンを機に、家の中を整理しました。

シャンタル・ ルクレ ール=ガルニエール インテリア
ジャン=マリー・フロリの猫のオブジェ、日本人アーティストの刺繍、仏作家ジャック・ビボンヌの野菜の絵など、好きなアートを。
シャンタル・ ルクレ ール=ガルニエール インテリア
ロックダウン中にネットショッピングで購入し、外出制限が解けた翌日に届いた椅子。背もたれを自分で刺繍したクッションに変えた。
30年以上勤めていたインテリアショップを10月にリタイヤし、好きなことを思い切り楽しめる生活を満喫。この椅子はその記念?
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「あらためてこれは本当に必要かどうか選択する時間でした。きちんとものに向き合うと、不要なものや同じような道具に気づき、暮らしの無駄が見えてきたんです。そしてもっとシンプルな暮らしを心がけたいと思いました」。大好きなアート作品や散歩の途中に見つけた木の枝や葉。海で拾った貝殻や自然のオブジェなど、心に潤いをあたえてくれる美しいものに囲まれ、シンプルながら、豊かに暮らしたいと思うようになったのです。

シャンタル・ ルクレ ール=ガルニエール インテリア
壁、フローリング、リネンを白でまとめた寝室。赤いステッチの枕カバーはザラホーム。壁の大きな絵は無名のアーティストの作品。

夫婦ふたりなので、それぞれの書斎と作業スペースを持ち、お互いが自由に過ごせるようにしましたと、シャンタルさん。インテリアは、パリの人気ブランド、カラヴァンのソファに自作のクッションを飾ったり、床にはモロッコから持ち帰ったアンティークのラグを敷くなど、時代や背景の違う家具や雑貨のミックススタイル。

「夏は白の麻やコットン、秋はベージュやマロンカラーのベルベットやウールで温かみと、ファブリックで色と質感を変え、季節を演出しています。高額な作家のアートより、生活の中で出合う自然のオブジェが好きなので、そういうものを持ち帰り、アレンジして飾ったり、インテリアのスパイスに使っています」。そう話すシャンタルさんの周りには穏やかな空気、そしてゆったりした時間が流れている感じ。

少しの工夫を加えて、
自分たちだけの棲家を。

シャンタル・ ルクレ ール=ガルニエール インテリア
リビングとキッチンの壁を壊し、ガラスのパーテーションで開放感を。友人からプレゼントされたイラストを壁のアクセントに。
シャンタル・ ルクレ ール=ガルニエール インテリア
リビング側から見たキッチン。ダークグリーンのソファはカラヴァン。ローテーブルはキャンプ用の折りたたみ式のベンチを利用。
シャンタル・ ルクレ ール=ガルニエール インテリア
床には建築やアート、写真集などを積み上げ、オブジェ風に。後ろにはアンティークの鏡や昔のサイケデリックなポスターなども。
シャンタル・ ルクレ ール=ガルニエール インテリア
インドでひとめ惚れし、まとめ買いをしたキルティングの布カバーのノート。アイデアをまとめたり、旅の思い出ブックにも使います。
シャンタル・ ルクレ ール=ガルニエール インテリア
ブロカントで買った古い机に、ハリー・ベルトイアの椅子。森で拾った木の枝で作ったオーナメントや娘が描いた花の絵を壁に飾って。
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そして今後の暮らしの展望は?
「フランス南西部にあるシャラント=マリティムにバカンス用の家を持ちたいと計画中。そこは私が子供の頃住んでいたエリアで、気候が安定していて過ごしやすいんです。理想は天井が高くて窓が大きな家。そこで編み物や読書をし、朝夕は夫と海辺を散歩する。そんなバカンスが過ごせるようになったら最高ですね」

『ku:nel』2021年1月号掲載

写真 篠あゆみ/コーディネート 鈴木ひろこ/ 編集・文 今井恵


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