フランスでZENの心に基づいた暮らしを楽しむヴァレリーさん。日本で仕事をしていたとき、不安解消のために試してみた座禅がZENと出会ったきっかけといいます。決して贅沢な暮らしではないけれど、心をとても豊かにしてくれる。そんなZENの心に基づいた暮らしを今回は紹介していきます。
【50代でもきらきらと!年齢を重ねるごとに、輝きを増していくフランス女性①】DIYから始まる豊かな暮らし
▼前回までの記事
日本で出合った ZEN の世界。 精進料理をフランスで伝えたい。
マレ地区の小さなアパルトマンでZEN の心に基づいた暮らしを楽しむヴァレリーさん。
「 25歳のとき、アートの仕事がしたくて日本に行きました。そこではバブルの好景気に乗って、ZEN とは無関係の生活。稼いだお金を散財して、3 年ほどでフランスに戻りました」
そしてしばらく映画プロデューサーとして働き、とある映画関係の機関の審査に通り、再び日本に留学しました。 「日本で映画関係の仕事をしながら、 異国での不安解消のために試した座禅。 それをきっかけにお寺を訪ねました」 。すっかりZEN の世界にはまり、 約10年の滞在中、2度の短期修行も経験。最後は精進料理も学びました。
「帰国のきっかけは年老いた両親の世話をするためです。パリでは野菜を使った精進料理をベースにオリジナル料 理を作り、禅寺の賄いやヨガや ZEN の施設で食事指導をしています」
さらにヴァレリーさんは、月に8日間ほどパリを離れます。 「ブルターニュに両親の家があるんで す。同居する90歳の叔母と両親の世話をするため、パリとの往復。でも田舎の家には畑があり、両親と一緒に畑で野菜を育てる楽しみがあります」
現在の仕事では、収入は生活ギリギリ。でも両親のために使える時間があ るのが幸せだと語るヴァレリーさん。 「帰国してしばらくすると、更年期障害が起きたり、急な生活の変化に体の調子が悪かったんですが、パリでとある禅僧に出会い、彼のもとで再び勉強し、免許皆伝の証に剃髪をしたんです。それがちょうど50歳でした。私はずっとロングヘアでしたが、髪を剃ったことで性別から解放された気持ちになりました。だから閉経に悩むこともなく、とても元気になれたんです。女性は歳でリセットするといいと思います。そして年齢をポジティブに受け止めるべきだと思うんです」
マイペースな暮らしで、贅沢ではないけれど心が豊かになれたヴァレリー さん。彼女の凛とした佇まいが、心の充実感を物語っています。
ヴァレリー・デュヴォーシェルさん
“キュイジーヌ・ド・ビア ンベイヤンス(ウエルネス のための食事)”と名付け たZENをベースにした料 理を禅寺やヨガの教室など で提供。www.lacuisinedelabienveillance.org
『ku:nel』2018年3月号掲載
写真 横田安弘 / コーディネート石坂紀子 / 編集・文 今井 恵
●フランスマダムの離婚の話ほか
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◎【フランスマダムの離婚物語】「絵に描いたような幸せ」から一転。周りに支えられ、新たに掴んだ幸せ。
◎【フランス流生き方2・前編】66歳で3度目の結婚をし、自分のために生きると決めた女性。
◎【フランスマダムの家庭事情②】彼と出会い、子供のいない人生にも悔いはなし。ヴァネッサさんの素敵な生き方。