行楽のシーズン到来。飛田和緒さん流・いなり寿司の作り方をご紹介します。飛田さんが作るのは、味のはっきりとした関東風のいなり寿司。「ふっくら柔らかい油揚げを使うこと」がポイント。更に飛田家の隠し味「辛子」を少し塗ってアレンジを加えれば、さっぱりとした味の美味しいいなり寿司の出来上がり。
「子どもの頃から酢飯が大好き。母はのり巻きとおいなりさんを両方作ってくれたような記憶があります」。と、飛田和緒さん。東京育ちの飛田さんが作るのは関東風の、味のはっきりした大きめのいなり寿司です。大切なのは、いなり寿司に適した油揚げを探すこと。最近人気のぺたっとしまった油揚げは、「ほぼ開かないと思ってください」。油揚げを油抜きしたり、煮るときには、菜箸を使わないほうが安全。せっかく開いた油揚げに穴を開けたり破いてしまうことに。「破れることはあるから、ちょっとならそのまま使っても大丈夫。でもあんまり大きく破けたらあきらめて、刻んで混ぜご飯にしたり、きつねうどんに使えばいいのです」。
そして、特筆すべきは、飛田家のいなり寿司には隠し味に辛子が少し塗られていること。これは飛田さんが少女時代にしばらく暮らした長野県の、特に松本市の隠れた名物。当地では、コンビニでも売っているという「からしいなり」を取り入れたもの。つんとした辛味が、甘じょっぱさをさっぱりとさせてくれます。今日は油揚げを煮るのにも、酢飯作りにも、きび砂糖を使っていますが、白砂糖を使うと、よりすっきりしたいなり寿司になるそう。上等な油揚げだったら、下味をつけるときにだしを使わなくても大丈夫。さっぱりした味のいなり寿司になります。 基本のレシピでまず作って、あとは味つけの足し算引き算をして、好みの加減を探してみてください。
基本の作り方
油揚げはふっくら柔らかいものを選ぶ。
味ははっきりつける。
ちょっとしたコツをつかめば、誰でもおいしく作れます。
●材料(16個分)
油揚げ…8枚
だし…3カップ
A しょうゆ、砂糖…各大さじ3
米…2合
B 酢…大さじ4
砂糖…大さじ2
塩…小さじ1/2
和辛子、甘酢生姜…適宜
あれば木の芽…適宜
飛田和緒/ひだかずを
一人娘のお弁当をのべ11年ほど作り続けているお弁当名人。最新刊『いちばんおいしい野菜の食べ方』(オレンジページ)ほか著書多数。
●お弁当のレシピ、そのほかいろいろ
◎冷めてもおいしいおふくろの味!”日本一おいしい”海苔弁の作り方を教わりました。
◎【ワタナベマキさんのお弁当レシピ1】作り置き・ゆで鶏を使って15分で作れます。
◎【ワタナベマキさんのお弁当レシピ2】15分で完成!作り置き・魚の味噌漬けがあると便利です。
◎【ワタナベマキさんのお弁当レシピ3】15分で完成!万能作り置きおかず・鶏ひき肉だねを使って。
『ku:nel』2020年5月号掲載
写真 三東サイ/取材・文 船山直子