人気料理家・ワタナベマキさんに教わるお弁当レシピ。ポイントは作り置き料理を使って、15分でささっと作れるということ。もちろん、夕飯の献立にも!
お弁当作りはがんばらないことが 大事。「毎日のことなのだから、無理なく続けられることを大切にしたいです」とワタナベマキさんは言います。
「以前はおかずも数種類作ったりしたけれど、最近はシンプルに、2、3種類あれば十分満足できるかなって」
そのために役立つのは作り置きの食材。ゆでた鶏肉、味つけして冷凍した肉だねや塩もみの野菜があれば、朝の15分で安心の味がきらくに作れます。
「飽きないように味のバリエーションは考えて。しっかりした味、酸味のもの、ちょっと甘いものを組み合わせます。ごまや山椒で変化をつけると、マンネリにならずに食べられますね」
【ゆで鶏の梅和え弁当】
メインはゆでた鶏肉を切って、たたいた梅をのせただけの手軽さ。梅や酢の効いた食材はお弁当の防腐効果も担ってくれます。
■おかず1■ゆで鶏とスナップえんどうの梅和え
材料(1人分)
ゆで鶏(もも)★… 120g
スナップえんどう… 5本
梅干し…2個
1)ゆで鶏は皮を取り除き、食べやすい大きさに切る。スナップえんどうは筋をとり塩(分量外)を加えた湯で約40秒ゆでてざるに上げ、2等分に切る。
2)梅干しは種を取り除き包丁でたたき、1 、2 と和え、好みで白ごま(分量外)をふる。
★ゆで鶏の作り方
たっぷりの酒でゆでた鶏肉は、ゆで汁に浸したまま保存します。汁は捨てず、スープや煮物のだしに利用。おまけのレシピも紹介します。
材料(作りやすい分量)
鶏もも肉、鶏胸肉…各1枚(250g)
酒…適量
塩…小さじ2/3
作り方
1 )鶏肉は切れ目をいれて、厚さを均一にする。
2)フライパンに1 を重ならないようにいれ、酒をひたひたにそそぐ。
3)中火にかけ煮立ったら鶏肉を裏返し、蓋をして弱火で約8分加熱し、火をとめ、塩をふる。蓋をしてそのまま冷ます。
※冷蔵庫で約5日間保存可能。
■おかず2■キャベツの塩もみと切り干し大根のしょうが和え
材料(1人分)
キャベツの塩もみ★…1/3カップ
切り干し大根… 15g
しょうがせん切り… 1/2かけ分
白いりごま…小さじ1
黒酢… 大さじ1
ナンプラー… 小さじ1/3
ごま油… 小さじ2
作り方
1)切り干し大根は流水で軽くもみ洗いし、かぶるくらいの水に5分つけて戻し、水気を絞る。
2)キャベツ、しょうが、白いりごま、黒酢、ナンプラーを加えてなじませ、ごま油を加えて混ぜる。
★キャベツの塩もみの作り方
近著『まずは塩しましょう。』にもあるとおり、分量2%の塩で野菜や肉を保存するのはいいことずくめ。コールスロー、炒め物にも使えます。
材料(作りやすい分量)
キャベツ…1/3個(約300g)
塩…6g(分量の2%)
作り方
1)キャベツはせん切りにし、塩を加えてしんなりするまでもむ。
※冷蔵庫で約6日間保存可能。
■おかず3■人参と焼き海苔の卵焼き
材料(作りやすい分量)
人参の塩もみ★… 1/3カップ
焼き海苔… 1/6枚
卵… 2個
みりん… 小さじ2
ごま油… 少々
作り方
1)人参の塩もみは粗みじん切りにする。
2) 卵をとき、 1 、みりんを加えて混ぜる。
3)卵焼き器を中火で熱しごま油をいれ、2 の1/3を流しいれ、焼き海苔をのせて、手前に巻く。
4 )同様に2回にわけて卵液を流しいれて巻き、焼く。
★人参の塩もみ
オリーブオイルでサラダに、煮物のあしらいに、と縦横に使えます。塩味がついているので、卵焼きの味つけはみりんだけで、ほんのり甘く。
材料(作りやすい分量)
人参…大1本(200g)
塩…4g(分量の2%)
作り方
1)人参はせん切りにし、塩を加えてしんなりするまでもむ。
※冷蔵庫で約6日間保存可能。
ワタナベマキ/わたなべまき
料理研究家●デザイナーを経て、料理の道へ。テレビ、雑誌
など多方面で活躍。近著に『まずは塩しましょう。』(KADOKAWA)。塩の力で食材を保存し、よりおいしく食べる知恵が満載です。
ku:nel 2020年5月号掲載
写真 公文美和 / 取材・文 船山直子