昨年までパリから、リアルなフランスレポートを送ってくれていたクウネル・サロンメンバー松永加奈さんが、6年に及ぶパリ暮らしを終え、日本に帰ってきて数カ月……。そんな松永さんのお引越しにまつわるレポート第二弾です。初回は東京、パリ、ソウル、私の「お部屋探し」三都物語。ところ変われば、住宅事情も変わりますです。
さて、かつて経験したソウルとパリでの家探し。情報を集め、希望の条件に合う物件をピックアップし、内見のアポイントをとるところまでは日本と同じ段取り…ですが、実際の部屋を見るときに、ちょっとした驚きが。
ドアを開くと、そこには住人が?!
日本で「内見可能な賃貸物件」といえば、「住人が退去した空き部屋」しか知らなかった私。ところが、ソウルで初めて内見に訪れた部屋にはまだ居住者がいて、絶賛生活中だったのです、これにはびっくり。
この習慣はパリも同様で、賃貸物件であっても、住人が退去前に内見するのは普通のことだそう。住人が退去後の部屋も内見しましたが、そこそこの確率で、洗濯物が干してあったり、仕事中だったり、ティータイムの途中だったり…というリアルライフにお邪魔しました。
とはいえ、その状況に慣れていない私たち。特に最初の頃は玄関先で「いいんですか?」とかなり恐縮しましたが、どこへ行っても「自由に見て」と言われ、こちらもそれが目的なので「それでは遠慮なく…」と、そーっと収納や水回り、家具家電などを確認。人が居る状態での内見は、2か国で何度も経験したものの、最後まで慣れませんでした。
驚きの賃貸制度
気に入った物件が見つかれば申し込み、契約へ。韓国とフランスには、日本の「礼金」にあたるものはなく、「敷金」にあたる「保証金」があります。金額は家主によって異なり(家賃数か月分など)、退去時に大きな修繕や修理があった場合はその代金に充てられ、残りが返金される仕組み。
家賃は基本的に月払い制ですが、韓国にはもう1つ、「チョンセ」という賃貸制度があります。これは、契約時に高額の保証金(数千万円単位)を支払えば、月々の家賃は支払わなくてOK、そして契約終了(退居時)に保証金は原則全額戻ってくる…つまりタダで部屋が借りられるというシステム。
「え!?」と思いますよね。内訳は、家主が保証金を運用し、その利益で家賃分プラスαを儲けるという仕組み。ただ、昔ほど金利が良くないので、最近ではチョンセの物件はかなり減っているそうです。
お掃除レベルのギャップ
最後、入居時にもときどき気になる点がありまして、それは「ハウスクリーニングの仕上がり具合」。韓国、フランスともに、なんというか〝いまひとつ〟なことが多いような?「引越してみたらあまり綺麗になっていなかった」というのは、日本人の間でよく聞く話。つくづく、日本のお掃除レベルは高いんだなあと思います。
世界中どこにいても、生活のベースになる「家」は大切。特にこの2年間は「在宅」というキーワードで、暮らしが大きく変わり、そのことは帰国後の家探しにも影響したような気がします。諸々の違いはあれど、どれもご縁があって住むことになった家。今の部屋もいろいろと工夫しながら、心地よく快適に過ごしたいなと思います。