元Hanako、Hanakoママ編集長の片岡延江さん。25年間勤めた会社を退職し、現在築古家屋を購入しDIY再生中。やっと持主と連絡が取れました。事情を聞いているうちに「成年後見人制度」が関わる物件だということが明らかに!?そんな片岡さんの大家日記シリーズ第4回になります。
元Hanako編集長の大家日記 一号物件編
vol1:会社辞めて家買って、DIYリノベの大家さんをしています。
vol2:荒れ果てた部屋や庭木をみて唖然、残置物の処分で苦戦しました。
vol3:人気物件だと思っていたのに!?入札してから明るみに出てきた真実。
翌日の朝、司法書士の方から連絡がありました。その方は、物件の持主さんが長いこと病院暮らしをしており、意思疎通や判断に難しい面があるので「保佐人」として、代理でいろんなことを行っているとのことでした。「家が落札されたのは国税局から知らされていましたが、どのように連絡を取ろうかと思っていたところでした。長いこと連絡できず、すみません」と言っていました。「成年後見人制度」のことは知ってはいましたが、実際にその制度に関わる人とお話したのは初めてです。持主さんは、意思疎通が全くできないというわけでないので「被後見人」ではなく「被保佐人」ということでした。
「成年後見人制度」が関わる物件だった。
長い間療養中ではあるけれど、まずは元気ではあるとのこと、私は胸をなでおろしました。「ご自分の帰る家はなくなってしまいましたが、大丈夫ですか」と聞くと、「もう家には帰ることはないと思います」と言っていました。早速、残置物の処分をお願いしたところ、少し時間が欲しいとのこと、保佐人として裁判所や本人とも確認があるようでした。国税局やら裁判所が絡んでる、私の第一号物件は、随分とたいそうな物件だと思ったのでした。
そして、数日後、司法書士さんから連絡があり、物件を見に来たいとのこと。私が「室内はかなり傷んでいるが立派な金庫があります」と言うと、「えっ」と少し驚き、「ダメかもしれないけど本人に番号を覚えているか聞いてみます」と言ってくれました。私は目の前で古い金庫が開く瞬間を想像してワクワクしました。
懐中電灯ともに残置物を確認していく。
翌日の夕方に、司法書士さんと待ち合わせをしました。 「これはひどいですね」、司法書士さんが玄関を開けたときの第一声です。スリッパを持参されていましたが、靴のまま一緒に中へ入ってもらいました。
日が暮れて中は暗くなり、司法書士さんと携帯の懐中電灯を照らしながら中を進むと、床がみしみしと鳴ります、するとドアが「ギ、ギギイ」と開いたので、二人で「わっ」と思わず声をあげました。ドラマでよくあるシーンですが、もろい床が沈んだせいでドアが「ギ、ギィ」と開いてしまうんですね、幽霊屋敷の演出に使われますが、リアルに体感しました。
奥まで細かく見ていくと、雪用の金属チェーンが床に落ちていたり、押入れには古民家にありそうな木の熊などもありました。いかにも昭和風な傘が何本も置いてあります。司法書士さんが、棚やたんすの中を丁寧に確認しています。そして、重い引き出しを開けてみると5円玉がいっぱいに入っていました。下の引き出しには10円玉がまた引き出しいっぱいに。いうことは、あの金庫なかにもきっと…と期待が膨らみました。
が、結局、金庫は開かずじまいでした。
数日後、司法書士さんがすべての残置物を処分してくれました。そして、私は、家具類がなくなったことで、やっとリフォームのスタート地点に立ったのでした。
→次回は12/21の公開予定。
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