息子と共に困難を乗り越えていく、その過程には苦労したことも気付かされることも多い。父や夫、家族の支えが今の生き方の基盤になりました。前向きで温かいメッセージをエルヴェリンさんがお送りします。
▼シリーズ
1)【フランスマダムの家庭事情①】「子育てで何かを諦める人生を送りたくない」と、家事や子育ては夫と分担。
2)【フランスマダムの家庭事情②】彼と出会い、子供のいない人生にも悔いはなし。ヴァネッサさんの素敵な生き方。
エルヴェリン・ファーブルさん
ブティックオーナー
広告代理店でアートディレクターをしていたとき、同僚のアルノーさんと出会う。息子は明るく、ハンディキャップを感じさせないほど、スキーや工作を楽しめている。
モンマルトルで、ふだん使いできる白い器など、陶器やオブジェ、アートなどを扱う雑貨店を営む、エルヴェリン・ファーブルさん。 お店に近い 18 区にあるご自宅は、1階とさらに広い地下室を持つ、白を基調とした素敵なインテリアの家。「前のパートナーとの間に 16 歳の娘。そして今のパートナーのアルノーとの間に 11 歳の息子がいます。下の子を妊娠したのをきっかけに、この家を購入して4 人で暮らしています」
モンマルトルはアットホームな雰囲気があり、さまざまな国籍の人が住み、アーティストに人気のある街です。「私もアートディレクターをしていましたが、下の子が生まれて 5 ヶ月のとき、障害があるとわかったんです。息子の将来や、彼に費やす時間と収入の基盤になるものがほしい。また好きなものに囲まれ、自分が癒される場所もほしいと考え、店をオープンすることにしたんです」
アルノーさんと一緒になって 15 年。 彼は最初、自分の子供が自閉症と知り、受け入れるには相当時間がかかったそう。「そんな彼も私も辛い時期、支えてくれたのは父でした。父には何でも話せました。アルノーも今ではいい父親です。広告代理店の仕事を辞め、フルタイムで自閉症の人たちを支える団体の PR コミュニケーションの仕事をしているほど。平日は忙しいですが、週末は息子と工作したり、美術館に行ったりしています。娘も障害のある弟と育ったせいか、自立心が強く、将来は医者になりたいと」
雑貨店を開き、自由にできる時間も増え、自分はアーティストを発掘したり、その作品を紹介する仕事が性に合っていると再認識したというエルヴェリンさん。「アーティストの作品はどうしても値が張るので、気軽に買えるアンティークとあわせるミックスインテリアを店では提案しています。家族と一緒に、週末ブロカントを巡り、アンティーク探しをするのが、今一番の楽しみですね」
アンティークの鉢や緑のある中庭
地下から出られる中庭は、愛猫もお気に入りの場所。グリーンを植えたアンティーク鉢や什器など、エルヴェリンさんもホッとする、家族のくつろぎの空間になっている。
オブジェのようなキッチングッズ
キッチンに作った細かい仕切りのある棚は圧巻。店でも扱う白い器やガラス、キッチンツールなどが、エルヴェリンさんのセンスでディスプレイのように並んでいる。
アートほど、 ふだん使い
これらも店で扱う雑貨やアート。フランス人アーティストの作品を多く扱う。「小さい頃から審美眼を鍛えたく、アーティストの作った器を子供にも使わせています」
白×淡い色の花の飾り方が素敵!
白い色をベースに花やアート、テキスタイルなどで色を加えるのが好きというエルヴェリンさん。花を使ったサイズ違いの花瓶のディスプレイは、真似したいセンス!
『ku:nel』2020年11月号記載
写真 篠あゆみ / コーディネート 石坂紀子 / 文 今井恵
●フランスマダムの離婚シリーズほか
◎【フランスマダムの離婚物語】波乱万丈から穏やかな生活へ。「今の私が一番好き」になるまで。
◎【フランスマダムの離婚物語】「絵に描いたような幸せ」から一転。周りに支えられ、新たに掴んだ幸せ。
◎【フランス流生き方2・前編】66歳で3度目の結婚をし、自分のために生きると決めた女性。
◎【フランスマダムの家庭事情②】彼と出会い、子供のいない人生にも悔いはなし。ヴァネッサさんの素敵な生き方。