日光彩色を学ぶ旅で、 東照宮がさらに胸アツに!

界 日光

本誌のエディターとして毎号パリのページを担当する、〈クウネル・サロン〉プレミアムメンバー今井 恵さん。今年は国内外の出張が復活し、5月にはコロナ後初の海外出張でハワイにも行ってきたそう。その今井さんがハマる「国内学びの旅」。修学旅行以来の日光の魅力に開眼したようです。


岩絵の具で描く、魔除けのグリ紋。


日光東照宮といえば「修学旅行で行ったきり」という人も多いのではないでしょうか?私もそのひとり。いわゆる絢爛豪華な寺社という記憶のみ。でも星野リゾートの温泉旅館ブランド「界 日光」が宿泊者向けに行う“手業のひととき”という文化体験で、東照宮の素晴らしさに開眼!何度も訪ねたい、何時間も見ていたいスポットに変わったのです。

「界 日光」で体験できる日光彩色体験とは、社寺の修復に携わる伝統工芸士・伊原実穂さん指導のもと、実際に修復に使われる岩絵具などを使って、工芸品づくりをします。木版に下絵が描いてあり、そこに見本を見ながら色をのせます。伊原さんがその都度色を調合して作る絵の具を使い、私は東照宮の陽明門の柱に描かれている“グリ紋”を描きました。アクリル絵の具などと違って独特の質感の岩絵具に悪戦苦闘しながらも、最後は貴重な金箔も使って仕上げた木版画。何かご利益を得られるでしょうか?

伝統工芸士の伊原実穂
伊原実穂さん。伝統工芸士と聞きビビっていた私たちに丁寧に教えてくれるやさしい先生。修復時のエピソードもおもしろく興味深い。
日光彩色体験
最初に塗るのは白。
日光彩色体験
朱色、白緑、緑青など色を加えていく。
日光彩色体験
全員がものすごい集中力を発揮! 久しぶりの学びの時間がとても新鮮。
日光彩色体験
金箔を乗せる緊張の瞬間。膠を塗った部分だけに金箔が張り付くのです。
日光彩色体験
金箔が膠に張り付いたのを確認し、余分な金箔を筆で落とします。
日光彩色体験
完成品。先生の見本と比べると恥ずかしい出来ですが、大満足。
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目の前に中禅寺湖という、ダイナミックな景色に感動!


「界 日光」は、奥日光への入り口、中禅寺湖畔に建つ温泉旅館です。客室には日光の社寺でも見られる鹿沼組子を使ったしつらえもあり、しっとり落ち着いた雰囲気。窓の外に中禅寺湖と男体山の絶景が広がり、その雄大な景色を独り占め。旅気分が一気に盛り上がります。チェックイン後は肌にやさしいアルカリ単純温泉のお湯に浸かり、夕暮れの中禅寺湖を眺めながら身体と心がほっとした頃に夕食。京湯葉よりやや肉厚で波打った日光湯波をメインに、栃木の食材を豊富につかった日本会席は、東照宮の極彩色をイメージした器に並んだ、見た目も楽しい宝楽盛り(先付けや八寸、お刺身が並ぶ)や和牛と湯波の柳川仕立て鍋と盛りだくさん。夏場(~8月31日まで)は「ご当地かき氷2022」というイベントがあり、栃木県にちなんだ“いちごとミルクジャムのかき氷”のサービスも。

界 日光 客室
湖側の客室からは全室この景色が目の前に。朝、障子を開けた瞬間思わず歓声が上がる絶景です。
客室鹿沼組子
細くひき割った木に切り込みを入れ、手作業で何種類もの模様を作る鹿沼組子を印象的にしつらえたご当地部屋「鹿沼組子の間」。
特別会席(春夏) 和牛と湯波の柳川仕立て会席
和牛と日光湯波に溶き卵をまわしかけていただく「和牛と湯波の柳川仕立て鍋」。
かき氷
いちごとミルクジャムのかき氷は、女性には鉄板のおいしさ!
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国宝級と言われる「見取り図」を、
東照宮で特別に見学できる特別ツアー。


午後は伊原さんの案内で、日光東照宮見学。まずは社務所に立ち寄り、特別に「彩色見取り図」を見せていただく。これは社寺の修復を行う技術者が記録のために作ったもの。医者のカルテのように直した部分の素材や色、大工の名前も残している。大正時代のものもあり、国宝級の価値があるとか。伊原さんら現代の修復士はこれらを元に“平成令和の大改修”も行い、さらに新しい見取り図を残したそう。その絵を見ながら、さまざまな意匠には理由があり、絵にも物語があることを教えていただき、東照宮見学がますます楽しみに。

見取り図
これは大正時代に作られた見取り図。色の塗り方の指示が細かく描かれている。彩色見取り図は10枚ほど展示されている。

日光東照宮は徳川初代将軍、徳川家康公を御祭神におまつりした神社です。五重塔や神厩舎の三猿を始め、国宝の陽明門や御本社、眠り猫などが有名。豪華絢爛という言葉がふさわしく、極彩色が施され、数多くの彫刻で飾られ、金箔も貼られています。改めて歴史的建造物を守る修復士の仕事に敬意を感じながら、古の偉業に心から感動。今までとは違った目で東照宮を隅から隅まで楽しみました。知識を得てから見るだけで、建造物がこれほど愛しく意味のあるものになるのだと実感。これぞまさしく大人の遠足。日光には「華厳の滝」を始め、まだまだ名所がたくさん。ぜひ1泊、2泊して、時間をかけて歴史や自然を学んでみてはいかがだろうか。

陽明門
見取り図で見た装飾を陽明門に見つけ、思わず写真にパチリ。それにしてもなんて手の込んだ装飾なのだろう。
陽明門
陽明門の天井に描かれた龍。伊原さんも修復に携わったそう。
華厳の滝
中禅寺湖の水が高さ97mから一気に落下し、ミスト状の飛沫も浴びられる観爆台からの眺めは迫力満点。
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この記事の
プレミアムメンバー

今井 恵

女性誌を中心に、美容、旅、インテリアなどの記事を執筆。忙しい日々のなかで、時々出かける旅でバランスを整える。3匹の猫との暮らしに癒される。
Instagram : @megumomi

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