福岡県久山町は、雄大な自然と農地を有する日本随一の町です。この地を代表する生産者、城戸勇也さんの畑＜里山サポリ＞を訪問しました。

元々、福岡市内にあったイタリアンレストランの料理人としてキャリアをスタート。イギリスやイタリアでの生活を経験し、料理人が使いたい専門的な野菜を作りたいと32歳の時に就農。地道に畑を切り開き、今では久山町を代表する生産者として知られています。

「イタリアの郷土料理には、それぞれの土地で実った郷土野菜の存在が欠かせません。日本ではイタリア野菜が少なく料理の味が決まらない、という場面に度々遭遇しました。じゃあ、自分が作れば良い、と農家に転身したんです」（城戸さん）

普段はレストランへ卸していますが、日曜日に開催している無人販売では、評判を知る人たちの姿で賑わいます。

城戸さんの畑にお邪魔すると、なんだか心落ち着く良い香りが漂ってきます。実は、＜久原本家＞の看板商品“茅乃舎だし”を作る過程で廃棄される魚粉を肥料として再利用しています。さらに、土の中に良い菌の割合を増やすために米ぬかを配合したり、ビニールはトウモロコシ由来のものを使用したりと、自然環境に負担をかけない農業に取り組んでいます。

そんな城戸さんは「日本一、行きにくい店」と称する朝食レストラン『キッキリッキー』を運営しています。キッキリッキーはイタリア語で鶏の鳴き声、コケコッコーの意味。城戸さんの畑で実ったイタリア野菜をコース仕立てにして振舞っています。

完全予約制で朝は7時、8時、9時の3部制。確かに行くにはハードルが高め！レストランは山深い場所にありますので、朝から車を走らせていくことになりますが、行く価値のあるモーニングが待ち受けています。

季節の野菜で作るサラダやスープは、起き抜けの胃袋にも優しく、野菜のおいしさが全身に力を与えてくれます。朝から野菜たっぷり、フレッシュな味を堪能できる『キッキリッキー』のモーニングにきっと、感銘を受けることでしょう。