コロナ禍による長い自粛期間で、おしゃれ心も少ししぼみがちではありませんか?でもやっぱり好きな服を見たり買ったりすると気持ちが上がるという小林麻美さん。スタイルのお手本にしたかったミューズ、将来も変わらず着ているはずのアイテム、この先のおしゃれの展望を語っていただきました。
好きで買ったものは
飾っているだけで嬉しい。
2016年、クウネルで25年ぶりに表舞台に戻り、皆をあっと言わせた伝説のミューズ。颯爽とサンローランを着こなし、成熟した大人の魅力を漂わせる小林麻美さんは、ファッションへの思いもひとしお。あれから5年、おしゃれへの考え方は変わりましたか?
「おしゃれは楽しいし、大概の人が好きだと思います。自分がどう見られたいかや、今の気持ちを表すものでもあるし。ただこの1年、私はほとんど外出できず、人にも容易に会えない状況です。おしゃれをして出かける場所もなければ、そんな気分にもならない。メイクすらしない日もあります。毎日同じような服を着て、ファッションへのモチベーションも低下。こんなふうになるなんて自分でも驚きでした」
でも時折仕事や、やむを得ない用件で出かける準備をしようと、お気に入りのワードローブや、買ったけれど着ていなかった服が目に入ると、コーディネートがふっと頭に浮かんできます。
「そうやって久しぶりに服を選んで袖を通したり履いたりすると、やっぱりおしゃれって楽しいと思えてきます。実は、この大変なときに罪悪感に苛まれつつ、どうしてもほしくて買った靴があるんです。履く機会もほとんどないのに、誕生日だからと言い聞かせて手に入れました。ところが、飾って眺めているだけで不思議とうきうきしてきて、友達に写メまで送ってしまったほど。おしゃれにはモノを手に入れる嬉しさだけではなく、気持ちに直接働きかける効能があると思うんです」
家では気を抜いてリラックスする自分を許している、と語る小林さん。おしゃれにはそうやって気持ちを切り替える作用も備わっています。在宅時間が長すぎて、そのメリハリがつきづらかったこの1年。よりおしゃれの大切さを実感した期間でした。
小林麻美クロニクル @クウネル
25年のブランクを経て、本誌で活動を再開したのは5年前。以来、表紙やファッションページに登場し、連載では執筆や写真など、多
彩な才能を披露していただきました。
『ku:nel』2021年3月号掲載
写真 加藤新作 / スタイリング 小林麻美 / ヘア 林カツヨシ Jill / メイク COCO 関川事務所 / 取材・文 綿貫あかね / 編集 黒澤弥生
●小林麻美さんのエッセイ 好評連載中です!
◎伝説のおしゃれミューズ登場。貴重な少女の頃の写真にため息!【第1回・前編】
◎自撮り&エッセイで「いま」を伝えます【第1回・後編】
◎女ゴコロをつくる口紅について私が思うこと
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