パリとフランスにまつわる情報サイトTRICOLOR PARISの主宰・荻野雅代さんと桜井道子さんおふたりが、毎月交替でフランスから日々の暮らしをご紹介。第7回目は荻野さんが日本でもお馴染みのアーケード商店街の元祖であるパッサージュ・デ・パノラマの風景をお届けします。
商店街の元祖はパリにあった!懐かしさが詰まったパリのパッサージュ・デ・パノラマをめぐる。
さまざまなお店が通路を縁取るようにして並ぶアーケード商店街は、日本でもおなじみの光景ですが、その元祖が実はパリのパッサージュだったということはご存知ですか?パッサージュとは、フランス語で通路や通り道を意味するPassageという単語から名付けられた屋内商店街のことで、Passage couvert(屋根に覆われたパッサージュ)とも呼ばれます。
雨の心配をすることなく美しいタイル張りの通路を歩きながら快適に買い物ができること、そして通りから向こうの通りへと、建物の中を通り抜けて近道できることが、当時とても斬新で画期的なアイデアとして人気を集め、18世紀後半から19世紀にかけて多くのパッサージュが作られました。
19世紀中頃から始まったオスマン知事によるパリの都市整備や新たな百貨店の台頭によって、パッサージュの数がぐんと減ってしまいましたが、現在も26のパッサージュがパリに残り、パリジャン、パリジェンヌたちの日々の暮らしに欠かせない存在となっています。
1800年に誕生した古き良きパッサージュ
さて、今回ご紹介する「パッサージュ・デ・パノラマ」は、パリ2区、にぎやかなモンマルトル大通りとパリ証券取引所の裏手にあるサン・マール通りを結ぶ、1800年に誕生したパリで現存する2番目に古いパッサージュです。(ちなみに同じく2区にある、1798年誕生のパッサージュ・デュ・ケールが現存する最古のもの)。
オープン当初、客寄せのために入口の上部に作られた2つのパノラマ(回転画)が名前の由来で、横17m、直径7mの大迫力の円筒状のパノラマに、パリや南仏トゥーロン、ローマ、エルサレムといった街の風景画が描かれ、道行く人々の目を引いていました。1831年には取り壊されてしまいましたが、今もパッサージュの名称にその名残をとどめています。
お店の軒先に掲げられた、色々な形やデザインの看板を眺めるだけでもにぎやかな雰囲気が伝わってきますが、実際、パッサージュ・デ・パノラマは、他のパッサージュに比べてカフェやレストランが多く並んでいるからか、いつ行っても活気が感じられます。
今はあまり見かけない切手商、絵葉書・ポストカードの専門店も
注目を集める新しいレストランから、ギンガムチェックのクロスがかけられた昔ながらのビストロまで、さまざまなジャンルのお店が一緒に並んでいるので、グルメなパリジャンは必ずチェックするスポットでもあります。
また、古き良き時代のパリを感じさせてくれる活版印刷店や切手商、絵葉書・ポストカードの専門店、手芸屋さんなど、今や過去の存在となりつつある小さな個人商店に出会えるのも、パッサージュの大きな魅力のひとつです。
Passage des Panoramas
11 Boulevard Montmartre 75002 Paris
メトロ8.9 Bonne Nouvelle
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