具体的なイメージを持って、周囲の人に助けられながら、洋食店のオープンに向けて準備を進めたという坂田さん。料理家として自分の味を研究してきてよかったと実感し、毎日ワクワクを味わいながら働くお店での様子をご紹介します。
自ら飲食店を開くことなど、夢にも思っていなかったという坂田さん。でも、もし自分が小さな店を持つなら絶対に洋食店で、具体的なイメージもはっきりしていたといいます。「子どもの頃から家族で通っている洋食屋さんがありました。とにかく洋食が大好き。私にとっての洋食は、そのお店と母の手料理の味です。洋食屋さんがすごいと思うのは、老若男女の誰からも愛される料理であり、それがずっと変わらずにあること。そして、ご く普通の材料で作っているのに、手間と時間をかけて工夫をすることで、いくらでもおいしさを極められること。 そんな洋食店を、下町ではなく都心の街角に開く。誠実に作れば、きっとわかってもらえるのではないかと」 。
迷いはなかったものの、店を作るのは初めてで、さすがにわからないことだらけ。そんなとき、助けてくれたのが周囲の先輩や友人たちでした。「この年齢にもなれば、皆さん専門分野で活躍している方々なので、的確な助言をたくさん頂きました。ありがたかったですね。オープンして数カ月ですが、本当にやってよかったと思っています。今まで20年以上料理家として自分の味を研究してきましたが、そのことを、これでよかったんだ、これがやりたくてずっと料理をやってきたんだな、と思えました。毎日いろいろなお客様がいらして、日々まさにライブ。 この歳になって、こんなに毎日ワクワクを味わえるとは、考えてもみなかったですね」 。
『洋食 KUCHIBUE』
住:東京都渋谷区猿楽町 29-10 ヒルサイドテラス C棟15号
電:03-5422-3028
営:12:00~15:00LO、 18:00~19:30LO
休:火・水曜 *夜の営業のみ予約可
https://kuchibue.tokyo/
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『ku:nel』2020年5月号掲載
写真 太田隆生 / 取材・文 和田紀子 / 編集 友永文博