【月12万円で心ゆたかに暮らす65歳ショコラさんの話①】。離婚を決意し別居、通い子育ての日々。

ショコラ 

マガジンハウスより刊行している『65歳から心ゆたかに暮らすために大切なこと』。65歳の著者・ショコラさんが、パート勤務に年金をプラスして、月12万円の収入でのびやかに暮らす方法を具体的に記したエッセイは、多くの読者の心をつかみ、背中を押しました。そのなかから、特に注目の箇所をほんの少しご紹介してまいります。シリーズの最後には、ショコラさんインタビューも。まずは、40代で離婚を決意したところから。

40 歳近くになって考えた。 一生一緒には暮らせない。

 働き始めて6~7年ぐらい経ったころ、結婚生活がどうにも苦しくなってきました。夫が浮気するとか、働かないとか、そういうわかりやすい理由ではなかったけれど、何かが違う、と。

いまの言葉にすると「モラルハラスメント」になるかもしれません。結婚当初は我慢していた夫の言葉に、傷つくことがだんだん増えてきました。若い頃は気が強いところもあったので、「女だから」と格下に扱われることがあると、反論するようになりました。思っていることをぶつけると、相手はさらにこちらを罵倒する、威嚇する。そういうことのくり返しで、わたしの心は閉ざされ、言いたいことも言えず心にためるようになっていきました。

 普段は仕事のあと毎日遊び歩き、育児もわたし任せでも、日曜日には家族そろって出かけ、子どもたちを野球に連れて行ってくれたり、かわいがってくれましたが、根本的な考えがまったく違う。価値観が違う。毎日の暮らしの中で、少しずつ心が離れていった気がします。

この先一生、この人とひとつ屋根の下で暮らすことはないだろう、と思い 始めたのは40歳が近づいたころだったでしょうか。それでも、感情にまかせてすぐに離婚などしたら、子どもたちに悲しい思いをさせてしまう。わたしが暮らしてゆくことも不安です。わたしはこの先どうしていきたいのか、考え始めました。

別居にむけてお金を貯めること。子どもたちと離れずに暮らすにはどうすればいいのか、と。パートタイムで稼ぐお金が少しでも増えるように、出勤時間を調整し、稼働時間も増やし、買い物もやめました。

 あれこれと「将来の生活設計」を考えましたが、ちょうど長男の高校受験が迫っていて。受験を迎えて不安な気持ちになっている子どもを、母親のせいで動揺させるわけにはいきません。

 翌年には次男の高校受験も控えていたので、次男が高校を卒業するまでは自分の気持ちはいったん抑えて、もう少し家族としてやっていこうと考えていました。

 その半面、不仲になっても、中学、高校と多感な子どもたちの前でケンカはしませんでした。ただ高校生にもなればそんなことはわかるはず。ギスギスした雰囲気で明るくふるまっても、母親がしあわせそうではない姿を見せるのは、かえってよくないのでは、とも思っていました。

ショコラ

42歳の決意。 家を出て、花屋の2階へ引っ越し。

次男が高校に入学した年の夏休み、どうしてもがまんできない出来事があり、家を出ました。手元には、パートでこつこつ貯めた100万円と、結婚していたあいだにかけていた夫の生命保険を解約した数十万円。

そして、結婚前の退職直前にもらったボーナスなどを貯めておいた貯金が100万円ちょっとありました。これは何かあったときのために手つかずで持っていました。

まずは生命保険の解約金で仕事に必要な車を買い、アパートを契約しました。買ったのは中古の小型車シビック。

わずかな家具と、衣装ケース3つ分の洋服や身のまわりの雑貨を車に積み、 残りは置いたまま、あたらしい部屋での暮らしがはじまったのです。

そのとき、わたしは 42 歳になっていました。

夫婦が離婚を前提に別居することになったとき、一般的には子どもたちは 母親につくことが多いかもしれません。 わたしたちの場合は、夫の実家に義父と同居していたこと、夫が自営業を継いだこともあり、わたしが家を出ることにしたのです。

子どもたちにどうするか聞きましたが、もう高校生。生まれ育ったわが家のほうがいいだろうし、それぞれ自室もあったので、母親についていって手狭なアパート暮らしにつきあうこともないでしょう。かといって、子どもたちとこのまま離れてしまうことはできません。

そこで、どうすれば一番良いのかと考えました。いつでもすぐに行ける距 離に住んで、わたしが元の家に毎日通って、家事や食事の支度をすればいいのだと。

そのつもりで部屋探しをしたら、手頃な物件が見つかりました。婚家から歩いて15分、自転車で5、6分の場所にある、2階建ての花屋。 その2階にあるひと部屋、1Kが賃貸に出ていたのです。水道代込みで 6万2千円。すぐに部屋が借りられたのも、パートとはいえ仕事をしていたからだと思います。専業主婦のままだったら、たとえ小さなアパートでも賃貸契約は結べなかったかもしれません。 「それならわざわざ別居しなくてもいいでしょう」と、不思議に思う人もい るかもしれません。

でも、この風変わりな別居と、通い子育ては、思い返しても、当時それしか道はなく、あの生活があったからこそ、 10代だった息子たちとの結びつきが生まれたと思っています。

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撮影/林ひろし

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