小さな家だから楽しめる、厳選したものとの心地よい距離感ー金工師 鎌田奈穂さん 【住まいと暮らしvol.87】

鎌田奈穂さん かご

部屋やごはん、お気に入りの道具たちを本人撮影の写真で見せていただき、バトンを繋いでいくリレー連載。前回の安部仁美さんのバトンを受けてご登場いただくのは、金工師の鎌田奈穂さん。

鎌田さんの暮らしのルール

1. お香を焚いて、気持ちを切り替える
2. 日々の生活を大切にしながら、制作を行う
3. 本当に手元に残したいものを選ぶ

鎌田奈穂さん プロフィール

都内の古いマンションに暮らす鎌田さん。

「子どもが幼稚園のときにふと暮らしはじめました。友達やご近所さん、すぐそばには大きな公園や美術館があり、暮らしやすい街です。

賃貸なので、好きなように手を加えることはできないもどかしさはありますが、家具や照明、器やファブリックなど、小さなものでもじっくりと選び、少しずつ心地よい暮らしができるように心がけています」

本棚の上も作家による作品を並べて。「さまざまな素材のものを色々と並べて楽しんでいます」

家に並ぶのは、ピーター・アイビーのガラス容器や照明、井藤昌志さんのオーバルボックス、安部仁美さんやロベール・クートラスの作品などの名品ばかり。本当に手元に残したいものを厳選しているといいます。

「私が金属の作家なので、銀と相性の良いガラスや木などの素材を好んで手に取っている気がします」

「食器棚には、ピーターさんのガラス容器や三谷さんのお盆など、作家さんの器がいろいろと集まります」

仕事場もお子さんと同じ部屋にあるのだとか。

「子どもが学校へに行くと、お香を焚いて気持ちの切り替えをしてから制作に入ります。時間に限りがあるので、集中できます。身体が固まったら整体で整えてもらい、学校から帰ってきたら一緒におやつを食べながら、またいつもの暮らしに戻ります。いつでも顔が見える距離で仕事ができるのは、小さな家の特権だと思っています。

どんな忙しいときも、心地よいものに囲まれていると、生活を大事にできる気がして、ほっと深呼吸できる気持ちになります」

仕事場のやすりをかける作業机。「単調な作業が続くときは、ラジオを聴きながら、気分転換に香りのオイルを加えたりしながら制作を進めます」

仕事場の棚の上に並ぶのは、古いものから現代の作家さんのものまで。「心動かされるものを、時折入れ替わりながら並べています」

ついゆったりしてしまうソファ。「子どもがいるわが家には、無くてはならない、癒しの場所となっています。テレビを見ながらごろごろしたり、アイスを食べたり、ゲームをしたり」

ピーター・アイビーの照明は、各部屋にそれぞれ違うものを吊るしているそう。「自然と馴染みつつ、大きなアクセントになっています」

毎日焚いているお香。「井藤さんのオーバルボックスに納めて、すっきりと収納しています」

「玄関は、左官材を使った林友子さんの作品や、昔大切な方から譲っていただいた古物が出迎えてくれます」

鎌田さんが作ったうがい用のコップ。「子どもがまだ小さかった頃、落としても割れずにずっと長く使っていけるものをと思い、銀で作りました。傷や小さな凹みもありますが、たまにお手入れ
をしながら変化を楽しんでいます」

Borge Mogensenのキャビネットの上は、お香を焚いたりお花を飾ったり、そのときの気分に合わせながら楽しむ場所に。「バトンを繋げてくださった安倍仁美さんの石に籐をを巻いた作品や、ロベール・クートラスのカルトなど、大切な作品に楽しませてもらっています」

鎌田奈穂さん かご

自然な素材のものを置きたくなる寝室。

食卓では、ガラスの小澄正雄さんの器が大活躍。「グレーや黒っぽい器が多いなかで相性がとても良く、丈夫な作りで安心して使えます」

PROFILE

鎌田奈穂/かまだ・なほ

熊本県生まれ。2005年より金工師・長谷川竹次郎氏に師事し、茶道具をはじめとした金
工の仕事を学ぶ。2008年に独立、純銀やアルミニウムを素材に用いた器やカトラリー、オブジェなど、さまざまな国の古いものからインスピレーションを得て制作を行っている

鎌田さんがバトンを渡すのは、奈良でお菓子とコーヒーの店「tsuzuru」を営む城由起子さん。「いつも会う度に、スッとしたかわいらしい雰囲気をまとっている由起子さん。以前お家にお邪魔した際に、お部屋からもその心地よい空気を感じました」と鎌田さん。城さんの暮らしは、10月上旬に公開予定です。どうぞお楽しみに。

取材・文/赤木真弓

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