【図書館司書たちが選んだ京都グルメ/前編】読むと食べたくなるおいしいもの5選。

京都の司書と美味しいもの・前編 メイン画像

図書館で働く食いしん坊たちが選んだ、食への好奇心を誘う本と作家たち。京都府立図書館の職員を中心に、岡崎の図書館で働く司書たちの自主学習グループ「ししょまろはん」にお話を伺いました。

教えてくれた人

ししょまろはん

京都府立図書館の職員を中心に、岡崎の図書館で働く司書たちの自主学習グループ。本に出てくる京都グルメのデータを作成するなど、さまざまな情報をウェブで発信。libmaro.kyoto.jp

本で知ったあの味を、追体験する楽しさ。

京都・岡崎で働く図書館司書たちで結成された自主学習グループ「ししょまろはん」。本に出てくる京都のおいしいものをリストアップし、実際に食べ歩いてその写真と感想をウェブサイトで公開する〝たべまろはん〟というデータを作成する活動を続けています。「本を読むきっかけを作りたい、私たちのデータを何か有益なことに使ってほしい、という思いから始めましたが、今ではライフワークになっています」と、ししょまろはん。

現在紹介されている京都グルメは累計285件。その中でも作中で印象的に登場したもの、実際に食べておいしかったものを教えてもらいました。

「平松洋子さんが好きな乙羽の蒸し寿司は、素朴な味わいながら様式美という表現も納得の美しさ。小林秀雄さんが絶賛したオイルサーディンも、その美しさとおいしさに感動しました」
松葉のにしんそば、平野家本店のいもぼう、神馬堂のやきもちなど、歴史の長い老舗の味は、古くから多くの文学作品で描かれてきました。

「京都で暮らしていると、かえって老舗の店に行く機会がないんです。でも本の中で魅力的に描かれていると、好奇心がそそられて、答え合わせがしたくなる。本を読むたび、店に出向いて食べてみたいものがどんどん増えていきます」味や見た目を想像したうえで、実際に五感で味わうおいしさはまた格別。想像の味と実際の味、その答え合わせがしたくなったら、ぜひ京都へ。

乙羽の蒸し寿司

京都の司書とおいしいもの
乙羽の蒸し寿司 平松洋子『いわしバターを自分で』文春文庫より

蒸し寿司が食べたくなり京都で途中下車したエピソードをはじめ、食べることを中心に、コロナ禍の生活を綴ったエッセイ集。熱々でふかふかの蒸し寿司は、食べ終わるまでほかほか。一面の錦糸卵、穴子、椎茸などなどが入った素朴な味わいで、寒い冬、通りで立ち上る湯気を見るとつい入りたくなります。(ししょまろはん)

乙羽

住:京都市中京区新京極通四条上ル中之町565
営:11:00-20:00
休:月曜

竹中罐詰のオイルサーディン

竹中罐詰のオイルサーディン
竹中罐詰のオイルサーディン 言葉

「考えること」の楽しさを教えてくれる評論集。小林秀雄さんも絶賛したオイルサーディンは、天橋立の風土に育まれたイワシを手仕事で丁寧に仕上げたもの。缶を開けると、輝くイワシが一糸乱れず並んでおり、美しい。オイルサーディンの真の力を見せつけられた気がします。(ししょまろはん)

竹中罐詰

竹中罐詰オンラインショップ
https://takenakakanzume.shop-pro.jp/

松葉のにしんそば

松葉のにしんそば
松葉の にしんそば 言葉

チャンバラ映画でブシドーに憧れ来日したアメリカ青年の日本体験を、ユーモアたっぷりに描いた作品。ガイドブックを見て店を訪れた主人公は、見た目と味のギャップに驚きます。その昔、この本を読んで興味が湧き、初めてにしんそばを食べました。にしんそばといえば松葉、だと思える味です。(ししょまろはん)

松葉 本店

住:京都市東山区四条大橋東入ル川端町192
営:10:30〜21:00
休:水曜
https://www.sobamatsuba.co.jp

平野家本店のいもぼう

平野家本店のいもぼう
平野家本店のいもぼう 言葉

松本清張が社会派推理作家として飛躍する前に発表した初期の代表作で、芸能界の光と影を描く心理サスペンス。罪から逃れ、俳優としての成功をつかみかけた主人公が訪れた店として登場します。いもぼうは、京野菜の海老芋と棒鱈を炊き合わせたもの。大きな海老芋は箸がスッと通るやわらかさ。(ししょまろはん)

平野家本店

住:京都市東山区祇園円山公園内 知恩院南門前
営:11:00〜14:00、17:00〜20:00
休:不定休
https://www.imobou.net

神馬堂のやきもち

神馬堂のやきもち

主人公が京都を訪れ、かつて祖父が好きだった和菓子を買いに行くと、なぜか精神だけタイムスリップし、祖父本人として昭和初期の京大生として暮らす物語。昼頃には売り切れてしまうこともあるというやきもちは、香ばしさともっちりが相反することなく共存・共鳴し、餡を包み込んでいる絶品です。(ししょまろはん)

神馬堂

住:京都市北区上賀茂御薗口町4
営:午前中
休:水曜

『クウネル』2026年9月号掲載
イラスト/村松佑樹、取材・文/吾妻枝里子

SHARE

『クウネル』NO.140掲載

旅を深める本76冊と歩く、京都。

  • 発売日 : 2026年7月17日
  • 価格 : 1,080円 (税込)

IDメンバー募集中

登録していただくと、登録者のみに届くメールマガジン、メンバーだけが応募できるプレゼントなどスペシャルな特典があります。
奮ってご登録ください。

IDメンバー登録 (無料)