島田順子さん、酷暑で話題のパリの夏をどのように過ごしたか。【フランスの日々、日本の日々】
熱波に襲われた今夏のフランス。順子さんやフランスの人々が、酷暑の中で少しでも涼しく過ごすためにしていた、苦肉の策のあれこれ。〝口からの涼〟を大切にする日本の夏の文化を思い出しながら……。
庭に水を撒くと、 日本の涼を感じさせる工夫を思い出します。
日本でもニュースになっていたらしいのですが、今夏のフランスは酷暑でした。歩いていて木陰を見つけると、ついその下に入ってしまうほど暑い。
パリには日本のようなエアコンのある建物が少なく、エコロジーの観点から設置するのも規制されています。オフィスや店は扇風機と、あまり効かない簡易的なエアコンを置いて、暑さを凌ぐところが多く見られました。
ただ、これは太陽が高い位置にある昼間の話。多湿の日本に比べてフランスは空気が乾燥していることもあって、陽が沈むと気温が下がってきます。だから夜になると雨戸は閉めたままガラス窓を開けて、夜の冷えた空気を家の中に取り込んでおく。そして朝、陽が高くなる前に窓を閉めます。
すると涼しい空気が部屋を冷やし、石造りの家の冷たさとあいまって、帰宅する頃でもひんやりしているというわけです。暑い夏を少しでも涼しく過ごすためのフランス人の知恵なんでしょう。
セーヌ川岸では毎年人工ビーチなどが設営されるパリプラージュが開催。パリ市庁舎近くでも、各所に長椅子やパラソルが置かれ、無料で楽しめる。
日本には夏に涼を取るためのいろいろな習慣や文化があって、とりわけ〝口からの涼〟というのはとても大事にしています。
わたしは日本人なので、暑いとお蕎麦や素麺の、あの冷たくてツルツルとした喉越しが恋しくなります。先日はあまりの暑さから、アトリエの向かいのとらやで、宇治金時かき氷を食べてしまいました。
こちらの冷たい食べ物というと冷製スープが浮かびます。ブーロンマーロットは野菜が新鮮なので、サラダはもちろん、ガスパチョも最高においしくできるんです。
アトリエの中庭にある石造りの水道は、見た目にも涼しくて趣があるので、ときどき足を冷やすことも。乾燥した気候では水が涼しさを招きます。
ジャケット 880,000円、ブラウス 66,000円(ともに『JUNKO SHIMADA』/ジュンコシマダ) スカートは『JUNKO SHIMADA』のアーカイブ
アトリエの簡易エアコンは、フル稼働していても快適さとは程遠い。少しでも涼しさを感じられるものをと、無着色のミントシロップを常備して。
また、庭の芝生に娘の今日子が水を撒いてくれると、何となく風が涼しく感じられて、これは日本の打ち水と同じだと感じました。そういう涼しげな工夫はフランスにもあるはずなのですが、ここまで暑くなるとなかなか追いつきません。
パリの若者たちのようにセーヌ川岸で寝そべったり、川に足を突っ込んだりする程度。なので、やはり夏はバカンスに出かけるのが、いちばん涼を感じる手段なんだと思います。
ポンヌフ付近やサン゠ルイ島でも、涼を求めて人が並ぶ。
街角にはミストシャワーが。日陰でのんびりする人が多い。パリは乾燥した暑さなので、水があって日差しのない場所では微風が吹いて少し快適。
残念ながらわたしは仕事をしていますが、みんな南仏やブルターニュの海に出かけていきました。いまパリは酷暑のなか、旅行者たちでいっぱいです。
PROFILE
島田順子/しまだ・じゅんこ
千葉県館山生まれ。フランス在住。1981年JUNKO SHIMADA DESIGN STUDIOを設立。10月1日発表の2027春夏コレクションで91回目に。『島田順子 おしゃれも生き方もチャーミングな秘密』(マガジンハウス)など著書多数。
『クウネル』2026年11月号掲載
写真/松永 学、取材・文/綿貫あかね、編集/黒澤弥生
SHARE
『クウネル』NO.141掲載
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