【島田順子さん】豆・海藻・お餅…保存がきく食材で作る和食のシンプルメニュー/ふだんのごはん後編
フランスに長く住んでいても、島田順子さんが作るのは和食材のシンプルメニュー。豆類や海藻類、餅のような、保存のきく食材を上手に使って作る“ふだんのごはん”とは?「ふだんのごはん中編」に続き、島田さんのいつものごはんをご紹介していただきます。
PROFILE
島田順子/しまだじゅんこ
1941年千葉県館山生まれ。1966年からフランス在住。1981年に「JUNKO SHIMADA」コレクションを始め、パリコレクションに参加。84回目となる2023-24AWコレクションを発表。『島田順子 おしゃれも生き方もチャーミングな秘密』(マガジンハウス)など著書多数。
私の嗜好性のベースは、子ども時代の食の記憶にあるのかも
豆類や海藻類、餅のような、保存のきく食材をうまく使うのも島田さんのいつものごはんのコツ。
「レンズ豆やわかめ、お餅は簡単に調理できるのでよく食卓に登場します。日本の保存食材は帰国時に買い込んで、スーツケースに詰めて持ち帰る。娘や日本のスタッフがパリに来るときに買ってきてもらうこともありますね」
お餅が好きなのは、子どもの頃によく食べていたからだと言います。
「館山では年末になると家の人がお餅をついていました。つき上がると私たち子どもがそれを丸めて座敷に並べていたのを覚えています。短冊形にスライスしたお餅が硬くなったら、油で揚げておやつに。だからお餅には思い入れがあるんです。今は焼いて海苔を巻いた磯部巻きや、お出汁としょうゆですまし汁を作ってお雑煮にします」
フランスに長く住んでいても、多忙な中で作るのは和食材のシンプルメニュー。味付けもさっぱりしているのが好みです。若い頃に日本を離れて、内なる日本文化の流れがプツリと途切れた影響から、幼少期に食べたものが浮かんでくるのかもしれません。
「母は家事が苦手な人で、祖母が家の中を切り盛りしていました。だからそのときに食べていたのは祖母の手料理。記憶の断片を見つけて、どんな料理だったかを思い返しながら作っています」
◎かぶのみぞれ風お雑煮
和風だしに、フランスの甘いかぶを真っ白になるくらいすりおろして入れる。海苔をパラパラとかけて、焼いた餅を入れる。かぶをするのは、「原型をこわさず、ちょうどいい加減にすれるから」と、目が粗いチーズ用のすりおろし器を使用しています。
大好きな野菜がメインの料理2皿
◎わかめとブロッコリーとコーンの和え物
茹でたブロッコリーとカットしたトウモロコシに、戻した乾燥わかめをトッピング。ビネガー、オリーブオイル、塩で和える。黒いわかめの上に、食欲が増すようにピンクペッパーのデコレーションで色を加えて完成。
◎粉ふきいもとサラミズッキーニ添え
「フランスのじゃがいもは、北海道のものと同じようにホクホクしているの。特に春先に出回る新じゃがは最高ね」というじゃがいも好きの島田さんは、粉ふきいもも大好き。鍋の水分がなくなるくらい茹でた粉ふきいもに、グリルしたズッキーニとサラミを一緒に盛り付けて。
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『クウネル』2023年7月号掲載
写真/松永 学、取材・文/綿貫あかね、編集/黒澤弥生
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『クウネル』No.121掲載
料理好きな人のいつものごはん
- 発売日 : 2023年5月19日
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