料理家・ワタナベマキさんが実践する普段の料理が見違える「スパイス活用術」とは?

「梅、乾物、スパイス」。人気料理家のワタナベマキさんが好きな食材として挙げてくれた3つのもの。それぞれがすごいパワーと可能性を秘めているのです。今回は、いつもの料理が変化するスパイスの活用法をご紹介します。

PROFILE

ワタナベマキ

料理家。シンプルでセンスのいい料理が人気。『ワタナベマキのいまどき乾物料理』(NHK出版)、『お医者さんが教えてくれた一年中冷え知らずごはん』(KADOKAWA)など著書多数。

毎朝のスパイスドリンク「ゴールデンミルク」が体を温めてくれます

ワタナベさんがここ数年の朝の習慣にしているのは、「ゴールデンミルク」を飲むこと。これは、ターメリック、カルダモン、シナモン、ショウガなどのパウダースパイスをミックスしたものを、温めた豆乳に混ぜた飲み物。うっすらと黄色く、思ったよりクセのない、優しい味です。

「数年前にアメリカ西海岸やハワイで流行っていて、自分でもハワイ島で買ってみたんです。ハワイでは、温めたココナツミルクやアーモンドミルクに混ぜて飲んでいる人が多かったみたい。体が劇的に変化するわけではないけれど、スパイスには体を温める効果があるし、体にもよさそうな気がして。これ用に特別にスパイスを用意するわけではなくて、料理で余ったものを好みの割合で混ぜるだけです」

本格的なカレーを作ろうと揃えたスパイス類、こんなふうに使う方法もあるのですね。もちろん、普段の料理にもスパイス類を活用します。

「ヨーグルトと塩、オリーブオイルにクミンパウダーを合わせたドレッシングは蒸したキャベツや焼いたカボチャにかけるとおいしい。卵ともよく合うので、目玉焼きの仕上げに塩とクミンで味つけをするのもトライしてもらいたいです。夏に向かって体調を整えるためにもスパイスの効果を体に取り入れたいと思います」

ゴールデンミルクの魅力とは?

飲み始めて4、5年が経ったゴールデンミルク。「好きな味だから続けられます。無理なく楽しむのがいいのかな」

「ゴールデンミルク」の作り方

◎材料

ターメリック、シナモン、クミンなどスパイスパウダーを混ぜたスパイスミックス適量、豆乳200ml

◎作り方

温めた豆乳にスパイスミックスを小さじ1/2ほど混ぜる。

シンプルなのに奥深い味わいの「豚肉とトマトのクミン炒め」

いつもとはちょっと違ったテイストを楽しめるスパイスを使った炒めもの。トマトのうま味がクミンの風味と合わさって、シンプルな料理なのに、意外なほど奥の深い味。肉は薄切りを使っても大丈夫です。

「豚肉とトマトのクミン炒め」の作り方

◎材料(2人分)

クミンシード小さじ2、豚ロース厚切り肉2枚(300g)、トマト2個(400g)、にんにく(つぶす)1かけ、酒大さじ1、塩小さじ1/2、ごま油大さじ1

◎作り方

1.豚肉は2㎝幅に切り塩少々(分量外)をなじませる。トマトは6等分のくし形に切る。

2.フライパンにごま油をいれクミンシード、にんにくをいれ弱火にかける。焦がさないように香りが立つまで炒め、豚肉をいれて焼きめがつくまで炒める。

3.酒を加えて中火にし、蓋をして2分ほど蒸し炒めする。トマトを加え、トマトの角が軽くくずれるくらいまで炒め合わせ、塩を加える。

 

この料理のようにホールを使う場合は、冷たい油にスパイスを入れて弱火で加熱。スパイスの風味を油にじっくり移す。焦がすと苦くなってしまうので、火加減に注意して。

スパイスはいつまで使える?

世界に100種類以上あるといわれているスパイス。

料理の香りづけだけでなく、食欲増進、殺菌、代謝アップや美肌効果も期待されています。たとえばターメリックやシナモンには抗酸化作用があり、アンチエイジングにも効果的だとか。一般的にホールのスパイスは香りも強くガツンとした風味があり、一方パウダースパイスは軽く、鼻に抜けるように香ります。

開封したパウダーは約半年、ホールは約一年半と保存期間も要チェックです。

スパイスの敵は日光や熱、湿気。使用頻度の高いものは日の当たらない引き出しに。小分けにして冷凍保存してもよい。

『クウネル』2023年7月号掲載
写真/柳原久子、取材・文/船山直子

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『クウネル』No.121掲載

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