【伊藤千桃さんがお金について考える/後編】お金を生むために、働くし、生きることに一生懸命になれます

「あれば安心」のお金ですが、どれくらい必要で、どんな風に使うのが快適かは、人によってちがいます。「これから」を見据えたお金との心地よい関係についてさまざまな価値観の方に伺いました。

今こそもう一度考えたい、あなたにとって、お金とは?

お金や生き方に対して、どっしり構えている伊藤さんですが、いつからそんなに達観しているのでしょう?

「40代で離婚をして、自由になったと感じました。50代、60代といつも歳をとっていくのが楽しみに過ごしてきました。体力が衰えたり、できないことも少しずつ増えたりしているかもしれないけれど、それはごく自然なこと。 その分、経験値が増え、対応力も上がり、ちょっとやそっとのことでは慌てない。人間は成熟していくにつれ、自由度も増すとは思いませんか?」

ヨーガンレールのシルクのシャツは、30年以上愛用。「当時の私には高価でしたが、長く着れば元が取れる」

さて、現在、72歳ですが、「これからの備え」についても実に軽やか。貯金なんて全然ないし、保険も最低限しか入っていないのよと、笑いながら話します。病気など「もしも」の心配はないのでしょうか?

「子供たちには私が病気になったら延命治療しないでと伝えてあります。それで、亡くなったら献体するつもりで、もう病院に登録しました。解剖して医 学の役に立ててもらい、骨になって戻ってくるんです。お葬式もしなくていいし、遺骨は山に撒いてほしいなと思っています。お墓があると遺された人たちが大変ですし、大好きな自然のなかでいられるのは幸せ」

日々生きていれば、心配なことも多いけれど、失敗を恐れずとにかく行動。案ずるよりも産むがやすしの精神で、前向きに生きてきた伊藤さん。

「お金を生むために、働くし、生きることに一生懸命になれる。大変だからこそ頑張れると思うのです」

『クウネル』2022年11月号掲載
写真/柳原久子、杉能信介(石黒さん)、 取材・文/鈴木麻子

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この記事の
プレミアムメンバー

伊藤千桃

1950年ジャカルタ生まれ。インドネシアと日本のダブル。「桃花源」の屋号で、神奈川県・葉山の自宅をベースにお弁当ケータリング、バーベキューサービス、民泊などを行う。著書に『千桃流・暮らしの知恵』(主婦の友社)が。
Instagram:@toukagenhayama

『クウネル』No.117掲載

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