元気と若さのための努力がむしろ逆効果だった!? 前回に引き続き精神科医の和田秀樹先生が目からウロコの健康法を伝授します。
和田秀樹/わだひでき
精神科医。和田秀樹こころと体のクリニック院長。1960年大阪府生まれ、東京大学医学部卒業。30年以上、高齢者医療の現場に携わる。近著に『70代で死ぬ人、80代でも元気な人』(マガジンハウス)。
60歳から食べるべきは、 野菜より肉
健康管理の中でも重要な毎日の食事。低カロリーでビタミンが豊富な野菜は、ヘルシー食材の代名詞ですが、野菜中心の食事には落とし穴が。
「動脈硬化など生活習慣病の予防が大事なのは50代まで。60歳からはむしろヨボヨボするのを防ぎたいので、食事でエネルギーを補完してほしい。そのために意識したい栄養素は、タンパク質、脂質、亜鉛。タンパク質は筋 肉の衰えを防ぐだけでなく、アミノ酸の一種・トリプトファンが幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの材料になり、幸福感を呼び 込みます」
「鬱っぽさを感じたら、とにかく肉をたっぷり!また心疾患の死亡率が高い欧米とは異なり、日本の死亡率の一位はガンですから、 脂質に含まれるコレステロールも過剰に気にする必要はありません。むしろ性ホルモンの材料になるのでしっかり摂りたいくらい。牡蠣やニンニクに含まれ、セックスミネラルとも呼ばれる亜鉛は元気の源ですね。美容面でも、タンパク質と脂質を含む肉は、肌や髪の弾力とツヤに直結」
「60歳を過ぎた女性も肉は1日150gを目標に。野菜は副菜と考え、肉 や魚に添える程度で十分です。ただし、体によい影響を与える食材であっても、 それだけを過剰摂取するフードファディズムは禁物。同じものばかり食べて いると慢性型アレルギーを発症しやすくなり、体の酸化を招くリスクも。素 晴らしいものも過ぎたるは及ばざるが如し。理想は、バランスよくいろいろ 食べ「雑食」。コンビニなら幕の内弁当を選びましょう」
『クウネル』2022年11月号掲載
イラスト/菊野友美、材・文/片岡えり、構成/今井 恵