山崎多賀子/やまざきたかこ
美容全般から健康医療まで幅広く取材。2005年に乳がんが発覚したことを機にがん患者さんの美容支援やがんに関する記事の執筆、セミナー等を主宰する。
Short Essay:
眉間のしわも美しい
60歳をすぎてからの人生は楽しいと、加齢をポジティブにとらえる女性が増えていますね。私もそう。脳も顔も身体も、そこかしこが衰えて、あきらめたり手放したりするのだけれど、加齢という当たり前の変化を受け入れてしまえば、しめたもの。
ひと様はひと様、私は私。 競う必要はなく、私はこれでいいと得心がいきます。
それは外見も同じこと。 私は40代から長いこと、少しずつ深く長くなっていく眉間のタテじわが嫌で 嫌で、ボトックスを打っていた時期もありました。でも、ある時ふと思った。
「眉間のタテじわって、そんなに悪いの?」。怒りっぽくて恐い印象を与える、そんな固定観念があったけれど、本当にそうかな。喜怒哀楽は激しいほうだが、 眉間にシワが寄るときの私は、「真剣に考えている」ときではなかったか。
そう気づくと、不器用なりに一生懸命悩んで考えてきた人生の勲章のようにも思えてくる。だいいち、男性のタテじわはシブいとか言われ、女性はなんで「鬼ババ」なんだ!(←あくまで私見)。
はい、これは私の勝手な言い分(開き直り?)です。それがいい。自分の眉間のしわを美しいと思って、これからもたくさん笑って、考え、たまに怒って暮らします。コンプレックスは都合良く「自己肯定」にすり替えて、軽やかに新たな挑戦も続けるのです。
文/山崎多賀子、写真/久保田千晴