青木貴子/あおきたかこ
多岐ジャンルの雑誌·広告を中心に活躍。エッセイ執筆、服や雑貨、ジュエリーなどのデザインも手がける。ファッションに関する様々なフィールドで活動。
Short Essay:
『すっ飛ばさない』をモットーに
音楽を聞くときにイントロを「すっ飛ばす」若者が増えているという。サブスクリプション(定額制)型ストリーミングの普及によって、膨大な楽曲を聴けるようになったのがその大きな要因。
なんと曲を5 秒で判断、気に入らなかったらすぐ次の曲へと移ってしまうジ ャッジの早い(こらえ性のない?)若者も多いのだとか。
その結果、最初の5秒が勝負ということでイントロは5秒程度(まったくナシも増加)、スキップ防止のためサビが何度もリフレインされる、ギターソロなし、1曲3分30秒以下と、楽曲作りそのものの方向性にまで影響が及んでいるというからびっくり。
そして音楽のみならず映画やドラマも倍速で視聴するなど、何事にも時間をかけないという傾向があるようです。
ちょっと憂いちゃいますが。 これも時代の変化、若者の行動パターンは理解しようと思います。されど、迎合ばかりが正しい流れとは思えないのです。
情緒や余韻を楽しめる若者が増えて欲しいし、「丁寧に味わう」ことで知り得る奥深い感動や素晴らしさをちゃんと伝えていくのは私たち先人の役目なのではないかと思うのです。
それには日々丁寧に生きねばなりません (自身は反省すること多々です が、苦笑)。若者たちを反面教師に「すっ飛ばさない」をモットーに、彼らから見てカッコイイ背中を持つ大人でありたいなぁとひしと思う今日この頃であります。
文/青木貴子、写真/久保田千晴