【マチュア世代へ・・・おやすみ前のミニエッセイ】料理研究家・坂田阿希子さん「自分の余白」

料理研究家・坂田阿希子さん

Short Essay:
「自分の余白」

2年前に自分のお店を持った。50代に突入してか らのまさかの展開で、自分でも信じられないような感覚を持ちながら、あっという間に開店。 振り返る間もなく3年目を迎えた。

レストランをやるなんて、 時々想像はしてみても「いやいや、私には絶対に無理だろう」とずっと考えていた。ところが、 あるご縁で 51歳にしてレストランのオーナーシェフになった。 今でもなんだか信じられない。 やるなら自分で厨房に立つ。そう決めて、わたしのシェフ生活が始まった。

今まで料理家としての生活だけでも充分に忙しいと思っていたが、毎日お客様に出す料理を作る、というのはそれとはまた全く違う力を使うものだった。

仕込みの量も違う、 労働時間も違う。朝8時には店に行って仕込みを始め、ランチとディナーが終了すると、掃除をして 23 時くらいに終了する。 日々 13〜14時間ほど店にいて、持ってる力を全て振り絞って働く、という感じだ。

そんな日々を送っていると、自分の中でもいろんな変化が起こった。 毎日がまるでライブのような臨場感で感動したり感激して高揚する。時には涙ぐむ。以前の私ってこんなに毎日感動していたっけ?まだ自分にできることの余白があったのだなあと、そこにもまた感動したりする。

体調もすこぶる良い。今年54歳。まだまだやりたいこと、やれるかもしれないことがいっぱいだ。

文/坂田阿希子 写真/久保田千晴

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