前野隆司/まえのたかし
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授、慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長。専門は、環境・安全・健康・平和・幸福等、人間がかかわるシステム全般。学問分野の粋を超え、幅広く研究を行う。『幸せのメカニズム』など著書多数。
Short Essay:
『幸せ』に気をつけよう
今、私が皆さんにお伝えしたいことは、「健康に気をつけるように、幸せに気をつけよう」 です。
ウェルビーイングという言葉があります。体と心のいい状態。「健康+幸せ」です。
つまり、体のいい状態を健康、心のいい状態を幸福と呼びます。だったら、「健康に気を配るのと同じように、幸せにも気を配るべき」だと思いませんか。
私は幸せの研究者です。たとえば、「感謝をする」「挨拶をする」「やりがい、いきがいを持つ」「主体的に行動する」「新しいことにチャレンジする」「人と自分を比べない」「広い視野を持つ」「他の人に親切にする」ことが幸せと関連することが、研究の結果わかっています。
つまり、これらの行動をするように気をつけていれば、幸せに生きられると言えるでしょう。
また、 幸せな人は、創造性・生産性が高く、欠勤率・離職率が低く、ミスが少なく、健康・長寿であることが知られています。まさに、「幸せに気をつける」ことが重要だと言えるでしょう。
また、「幸せはうつる」という研究結果もあります。逆に、不幸も伝染します。
つまり、あなたが幸せならば周りの人を幸せにすることができ、あなたが不幸せなら、周りの人も不幸に陥れる可能性があると言えるのです。
ぜひ、幸せに気を配り、あなたの周りの人々を幸せにしてください。
文/前野隆司 写真/久保田千晴