【私の大切な漫画vol.3】ミドルエイジの悩みを吹き飛ばしてくれる漫画など。

らーめん再遊記 あした死ぬには、 後ハッピーマニア

今回は、美術家の岡 美里さん、ライターの工藤花衣さんの大切な漫画をご紹介。ひたすら街を歩く散歩系漫画や、ミドルエイジの悩みを吹き飛ばしてくれる漫画など、自身の趣味や境遇に合わせた漫画チョイスが特徴的。そんな漫画が普段の生活に思わぬ気づきを与えてくれたり、あなたが持つ悩みに寄り添い、励ましてくれるかも。


世界観にのめり込み、主人公の喜びを追体験する。

岡 美里さん


歩くひと 谷口ジロー ぐるぐるてくてく 帯屋ミドリ 枕魚 
(左)『歩くひと 完全版』/谷口ジロー
仕事の都合で、郊外に妻と引っ 越してきた中年男性。彼がひたすら街を歩く様子を繊細なタッチで描いた珠玉の小品。「文字が少なく、絵が文字となり細部が浮き立ってくる」。小学館
(中央)『ぐるぐるてくてく』/帯屋ミドリ
方向音痴な部長率いる散歩部の2人が、道に迷いながら、街の魅力と出合う散歩ダイアリー。「女子高校生×散歩という新鮮な設定。なじみのある風景が登場」。LINE Digital Frontier
(右)『枕魚』/panpanya
主人公の女の子が、散歩の途中ふとしたはずみで不思議な世界へ迷い込む。どこかで見た、どこにもない風景に魅了される奇妙な物語。「少しマニアックですが街描写がすごい」。白泉社

自身も大の散歩好きである岡さん。 無目的に歩いて、その途中にドラマが 詰まっていることが散歩の素晴らしさだと話します。

「漫画を通して、散歩の追体験できることが何より楽しいんです。『歩くひと』は郊外、『ぐるぐるてくてく』は東京都心、『枕魚』は架空の街を散歩する話。3冊それぞれ舞台が異なるのですが、すべて、散歩の真髄がしっかりと描かれているのが特徴です」

もうひとつ共通するのは、街並みや背景などの細部まで作者がこだわり抜いて描いていることだそうです。

「風景に敏感であることが散歩の達人の第一条件だと思います。今は漫画の背景がデータで買えて、ペーストできる時代ですが、この3冊はとにかく描写が細かい。作者自身が散歩好きなことが、ページから伝わってきます」。


同世代の登場人物による、リアルな中年の心情描写。

工藤花衣さん


らーめん再遊記 あした死ぬには、 後ハッピーマニア
(上)『らーめん再遊記』/原作:久部緑郎 作画:河合単
ラーメンビジネスの世界を描く、シリーズ3作目。本作は、主人公が中年鬱から回復していくストーリー。「舞台はラーメン界ですが、きっと誰もが共感するはずです」。小学館サービス
(中央)『後ハッピーマニア』/安野モヨコ
名作『ハッピーマニア』の続編。45歳になった主人公カヨコは、夫から離婚を切り出され、再び幸せ探しの旅へ。「安野先生が長期休養を経て、戻ってきたということにも感動」。祥伝社
(下)『あした死ぬには、』/雁 須磨子
40代で直面する、心と身体の変わり目。切実に生きる40代女子たちの壁を描くオムニバスシリーズ。「リアルですが暗くなりすぎず、チャーミングで軽やかさもあります」。太田出版

幅広いカルチャーに精通する工藤さん。悩みが増えたり、無感動になった り。あらゆる変化や危機を迎える中年期に、元気や勇気を与えてくれるような漫画を選んでくれました。

「『ハッピーマニア』の主人公は45歳になりましたが、まったく落ち着かず、 相変わらずの右往左往ぶりに安心。そして『あした死ぬには、』は、映画宣伝の仕事をする40代独身の女性が主人公。更年期障害や疲れ、将来への不安、恋愛や友情を描いたリアルな作品です」

そして『らーめん再遊記』も、ぜひ同世代に読んで欲しい作品だそうです。「ラーメン界のカリスマとして活躍していた主人公が、仕事への情熱を失い、世代交代を感じるところから始まります。仕事の悩み、理想と現実のバランスなど、きっと誰しもが抱えている普遍的なテーマが描かれています」。

『ku:nel』2022年1月号掲載
写真/砂原 文、取材・文/阿部里歩

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