口尾麻美さんのキッチンを訪れると、きっと質問したくなるはず。「それ、どこの国のもの?」「何に使うの?」世界各地の異国情緒あふれる雑貨を集めて完成したキッチンには、一期一会の出会いが感じられます。どれも個性的だけれど、なじんでいる、そんなセンスとユーモアが光る口尾ワールドをレシピとあわせてご紹介!
楽しさとユーモアがあふれる、 宝箱のようなキッチン
モロッコのスーク、トルコのバザールなど旅先で見た台所道具の陳列が、お手本のようにいつも頭の中にあります。お店のディスプレイと家庭のキッチンでは違うかもしれないけれど、私には垣根がないんです」
旅で出合ったレシピを紹介する暮らしを始めて14年になる料理研究家の口尾麻美さん。物価が安くて雑貨の可愛い国に惹かれるといい、台湾、ベトナム、リトアニア、ジョージア、トルコなど繰り返し訪れた国は10カ国以上。現地で購入したものを、収納扉も引き出しもない自由な空間に置いて、吊るして。キッチンは宝箱のようなにぎやかな空気に満ちています。
「実用的かどうか、長く使うかなどは考えず、巡り合ったものは買うようにしています。家庭料理が好きで、その空気感を持ち帰りたいので。買ったものは捨てないからどんどん増えますが、見るだけで旅気分になって幸せ」
1日の大半を1人で過ごす場所にはユーモアのあるものも欠かせません。この雰囲気に惹かれて料理教室に通う人も多く、キッチンがレッスンの味付けになっていると笑います。近く、夫と2人でお店を始める計画もあるのだとか。夢を膨らませたのもこのキッチンで。どんな形になるのか、楽しみ!
モロッコのヘルシー鍋
Berber Tagine(ベルベルタジン)
スパイスをたっぷり入れて、野菜の水分だけでスチーム。
材料(2~3人分)
トマト( 角切り)…1個分
玉ねぎ(みじん切り)…1/3個分
にんじん…1/2個分
だいこん…4㎝
じゃがいも(メイクイーン)…1個
ズッキーニ1/2本
いんげん (4㎝の長さに切る)…4本
グリンピース…大さじ1
オリーブ…6個
塩漬けレモンの皮(レモンの輪切り1枚で代用可) …少々
A
ジンジャーパウダー…小さじ1
パプリカパウダー…小さじ1/2
クミンパウダー…小さじ1
ターメリック…小さじ1/4(色付け用、無くても良い)
ブラックペッパー…小さじ1/2
にんにく(すりおろし)…小さじ1
コリアンダー( みじん切り)…小さじ1/2
イタリアンパセリ( みじん切り)…小さじ1/2
塩…小さじ1/2
●作り方
①だいこん、にんじん、じゃがいも、ズッキーニは4㎝長さの短冊に切る。
②タジンにオリーブオイルを入れ弱火で熱し、玉ねぎを入れ炒める。玉ねぎがしんなりしたら、トマトを入れさらに炒め、トマトの水分が少し飛んだら、Aを入れて混ぜる。
③②にだいこん、にんじんを放射状に並べ、フタをして5分加熱し、残りの野菜を同じように並べ、グリンピース、オリーブを散らし、中央に塩漬けレモンの皮をのせてフタをする。途中煮汁を全体にまわしかけながら野菜に火が通るまで10~15分加熱する。
④野菜に火が通ったら、火を止めて食卓へ。パンを添えてできあがり。※途中、煮汁が多すぎたらフタをずらして水分を飛ばす。
〈PROFILE〉
くちおあさみ
料理研究家、フォトエッセイスト。近著に『まだ知らない 台湾ローカル 旅とレシピ』(グラフィック社)。自宅で開催の料理教室は各回最大4人まで。https://asamikuchio.stores.jp
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『ku:nel』2021年5月号掲載
写真・柳原久子 / 取材・文 石毛幸子