【マチュア世代へ…おやすみ前のミニエッセイ】料理家・麻生要一郎さん「さよなら冷蔵庫」

キッチン写真

Short Essay:
さよなら冷蔵庫

この家に引っ越して、7年が経つ。

母の癌の闘病を最後まで見守り、実家を畳んでの現在。その実家から運んだ大きな冷蔵庫。マンションの入り口、部屋に入れる時も、苦労した。

2年前に冷凍庫の調子が悪くなり、だましながら使って来た。 冷蔵庫を入れ替えるには、重たいカウンターをずらし、2つ棚を動かさないとならない。

どこにも食器や物が多く、全てを退けねば動かせず、引っ越しのような手間がかかり億劫でならない。

先月から、仕事場の支度をしている。こちらはキッチンを作らねばならず、もたもたしている。

先日、いよいよ冷凍庫が常温になった。冷蔵庫はキンキンに冷えていたから、もう少し大丈夫かなと、呑気に友人と食事をして帰宅すると、冷蔵庫も常温になっていた。

これまで何度も買い替えようとは思ったが、心細く越して来て、ケータリングの仕事、様々な取材、一冊目、二冊目の本の撮影もこの冷蔵庫が支えてくれた。

途中で別れるのではなく、しっかり使い切りたい、そう思っていた。暮らしの手本であった母の面影もそこにはあり、応援してくれているような気がしていたから。

仕事場のキッチンも早く作りなさいよという戒めも含め、冷蔵庫を通じて母に「もうそろそろ大丈夫よね」そう言われている気がしてならない。

文/麻生要一郎、写真/久保田千晴

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