【これからの時代の生き方 vol.5】自分を見つけ、時代に合わせて柔軟に生きる

石川理恵 麻生要一郎

コロナ禍を通して、世の中が大きく変わりつつある昨今。かつての仕組みや方法が通用しなくなったとき、私たちはどのように生きていけばいいのでしょうか。

ライター・編集者の石川理恵さんが30代〜70代の道なき道を探る人たちに、仕事や住まい、家族について話を聞いたインタビュー集『時代の変わり目を、やわらかく生きる』から、マチュア世代3人のインタビューの一部をご紹介。最終回の今回は、この本を通して伝えたいことを石川さんにお話を伺いました。


■心の広さと頑固さを持つ人の話を聞きたい


━━本書で取材されている9人は職種も年齢も幅広いです。どのように人選されたのでしょうか?

石川:このような取材の本は、みんなを編めたからこそのメッセージ性があると思っているんです。今回の本では、丸さんのようなクリエイターだけではなく、一般職などの人にもお話を聞きたいと、当初から決めていました。会社勤めの人も、定年後に雇われない生き方をしなくてはいけないかもしれないですよね。だから誰もが「自分の仕事」をすることは大事だと思っています。

そこで、フリーランスで事務をしている人はいないだろうかと探したのが、さいとうともこさんでした。就職氷河期に当たった人が抱えている根本的な社会問題が背景にあり、正規雇用ではなく派遣雇用になったど真ん中の世代で、すごく明るく話してくださったのですが、よっぽどの体験だったと思いました。でもそれを経て、今は里親までされていることにやわらかさと芯を感じます。

紆余曲折を経て、フリーランスで事務代行の仕事をはじめたさいとうともこさん。現在は何人かの外注スタッフと連携しながら、オンライン事務局「Smoon Style」を運営。

━━『クウネル』でもお馴染みの、料理家の麻生要一郎さんにもお話を聞かれていますね。

石川:前回お話した“心が広くて頑固”という物差しをもとに、気になる人を挙げていったら麻生さんが思い浮かびました。麻生さんには家族の話を聞きたくて、そこからこの本のテーマを仕事、住まい、家族の3本柱にしようと決めたんです。住まいについては分譲か賃貸か、空き家や後継問題などもあるし、家族も美しいだけではなく、複雑な問題を抱えがち。3回目に紹介した村上さんご夫妻は、子どもが産まれた後のワークダウンの話、親との同居、里親の話など、聞きたかったことをすべて経験されていて、惜しみなく話してくださいました。

石川理恵 麻生要一郎の写真
麻生さんは新島の宿で働き、仲間と食卓を囲んでいた時代に、新しい家族観を持つようになったといいます。
石川理恵 麻生要一郎
出会ったばかりの大家さんの養子になった、料理家の麻生要一郎さん。すぐに介護がはじまったが、自分が家族になったことで「老老介護にならなくてよかった」と語ります。
石川理恵 
鳥取で本屋「汽水空港」を営むモリテツヤさんは、本書の中で「人類みな迷子なのでは?」と語ります。本屋は稼げないとわかっていても、ジタバタしながら続けているのだとか。
石川理恵 辻本敏也
フリーランスで介護福祉士の仕事をする辻本敏也さん。自分にとって天職である障害者移動支援の仕事を通じて、「人と人との間をつなぐこと」を試みています。
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3章の扉に書いた、子育ては「100個大変なことがあって、101個いいことがある」。これは友人の言葉なのですが、人と関わるごとに、人生の振り幅がそれだけ大きくなるということ。たった1個のプラスではあるけれど、かけがえのない「1」です。そのために大変なことを頑張っている人たちを紹介したいなと思いました。

丸さんや麻生さんのように、私が気になってしまうのはなんでだろう、というところからお話を聞いて、なるほどと思ったところを原稿にしていった人と、こういう人に出てほしいというテーマで探して、お願いした人もいるのが本書のつくりです。

━━だからこんなにバラエティに富んだ人選なのですね。だからこそ、様々な人に気づきを与えてくれる本だと思います。この本を通して伝えたいことは?

石川:先のことは分からないなかで、そんな毎日をどう生きていくかを知りたくて始めた取材でしたが、最後に思ったのは変わることが先ではないんだということ。この本に登場する人たちは、変わろうと思って変わったのではなく、それぞれにターニングポイントがあって、自分を見つけてから変わっていくんだなとわかりました。タイトルが『時代の変わり目を、やわらかく生きる』なので、自分が変わらないといけないのかと思う人もいるかもしれませんが、そうではないところまで読んでもらえたらうれしいです。

━━いろいろなことを受け入れて、それによって変わった人たちなんですね。

石川:受け入れるためには、やっぱり自分がないといけないんですよね。そうでないと、振り回されて大変になってしまう。”心の広さと頑固さ”を持っている人は、仕事でも家族でも、ともにする相手は誰でもいいわけではない。人の選択には”なぜ?”があって、ただ奇特な人ではなく、そういうやわらかさがある人だからなんだなと、それぞれの人の目線や考え方を味わってほしいなと思います。

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写真/松村隆史、聞き手/赤木真弓

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