【マチュア世代へ…おやすみ前のミニエッセイ】山陽堂書店店主・遠山秀子さん「かっこいい大人たち」

遠山秀子 山陽堂書店

Short Essay:
かっこいい大人たち

創業120年を迎えた2011年、ギャラリーのある本屋に改装した。

空間さえあれば何とかなるだろうと安易に考えていた私に、ギャラリーは大変ですよ、と教えてくれたのはイラストレーターの安西水丸さん。

安西さんと店をこのような形でつなげてくれたのは、甥の幼馴染の編集者のお父さんだ。このご縁で、七夕の時期に安西さんに毎年個展を開いてもらうようになり、2年後にはプロのイラストレーターを育てる教室「山陽堂イラストレーターズ・スタジオ」を開講してもらった。

けれど、一年後に急逝。「志半ばの出来事さぞ無念だったにちがいない」と二代目講師を引き継いでくれたのはアートディレクターの長友啓典さん。

「山陽堂は地下掘れないの?サロンがあるといいんだけどなあ」との長友さんの言葉に後押しされてできたのが今の三階喫茶、週の後半に営業している。

生前、安西さんとオリジナルブックカバーを作りましょうと話していたが、かなわなくなってしまった。

ある日、和田誠さんが立ち寄ってくれた。和田さんには安西さんとの二人展、トークイベントでもお世話になっていた。話の中でブックカバーの話題になった。すると「水丸さんがやるはずのことだったらやるよ」と制作を引き受けてくれた。かっこいい大人たちのつながりに支えられた11年間だ った。

文/遠山秀子、写真/久保田千晴

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