漫画好きライターが、マチュア世代にどうしても読んでほしい漫画3選

トルコで私も考えた 七つ屋志のぶ TOY

〈クウネル・サロン〉プレミアムメンバーの松永加奈さんは大の漫画好き。「子供の頃からずっと傍にあって、大人になった今もいろんなことを教えてくれる「漫画」。ページをめくるたびどきどきわくわく、リアルもファンタジーも、安らぎも恐怖も…読みだすとつい時間を忘れ、没入感に浸ってしまいます」。

今回は、漫画専用棚から選んだ、マチュア世代におすすめの3作品を紹介していただきます。


トルコの街と人々を生き生きと綴った
連載30年のエッセイ漫画


トルコで私も考えた 高橋由佳利
トルコで私も考えた』/高橋由佳利 (集英社)
1992年より連載スタート。トルコへの移住から結婚、子育て、帰国など、マチュア世代の著者のライフスタイルの変化が描かれるのも長期連載ならでは。30年でトルコが変っていくさまも必見。現在は『月刊 オフィスユー』(集英社クリエイティブ)にて連載中。

80年代から『りぼん』(集英社)をはじめ、数々の漫画雑誌で活躍してきた漫画家・高橋由佳利さんが、自身のトルコ生活や家族とのエピソードを綴ったエッセイ漫画『トルコで私も考えた』。

90年代初頭、初めて旅したトルコに魅せられ、語学留学を経て結婚し、トルコへ移住した高橋さん。言葉や食生活、習慣の違いはもちろん、おおらか(すぎ?)なトルコの人々との交流には、発見や驚きがいっぱい。トラブルやハプニングにも事欠きませんが、どれも愛情とユーモアをもって描かれ、著者の逞しい姿にいつ読んでも前向きな気持ちになれる作品です。

この作品に出合ったときは、海外留学にも興味がない学生だった私。でも生き生きと描かれる「外国暮らしのリアル」が本当に面白く、長年愛読しながらずいぶん大人になったある日、夫のソウル転勤が決定。「いざゆかん!」とこの作品を全巻抱え、その後パリにも携えて行きました。


トルコで私も考えた 3巻28P
なかなか見られないトルコの日常には、興味津々なエピソードが満載。『トルコで私も考えた』第3巻より ©高橋由佳利/集英社

生活がスタートすると、ソウルもパリも予想外のハプニングが続出。そんなとき、国は違えど「ふふん来たわね、予習通りだわ」と暗記するほど読んだページを思い返して乗り切り、心が折れた時は「そういえばトルコでも…」と涙目で本棚から取り出して復習。現地の日本人の友人や国際結婚組からも「わかるー!」と共感を呼び、外国では「海外生活のバイブル」、日本では「元気の出る生活教本」として欠かせない存在に。 現在は日本で暮らすマチュア世代の高橋さん、連載継続中です。


一家離散事件の謎を追いながら
「質屋」と「宝石」のリアルがわかる


七つ屋志のぶの宝石匣 二ノ宮知子
七つ屋志のぶの宝石匣』/二ノ宮知子
舞台は東京・銀座の老舗質屋「倉田屋」。名家の一家離散事件とそれに絡む謎の宝石の行方を、残された名家の跡取り息子と質屋の娘が追う。講談社

ドラマ化やクラシックコンサート開催など、一大ブームを巻き起こした『のだめカンタービレ』の作者・二ノ宮知子さんが、2014年から連載している『七つ屋志のぶの 宝石匣 』。

舞台は東京・銀座の老舗質屋「倉田屋」。宝石の〝気〟を感じて鑑定ができる女子高生・倉田志のぶと、訳あって幼いころ倉田屋に預けられた名家の跡取りであり、今は高級ジュエリー店の外商・北上顕定。そんな2人(一応婚約者同士)が、北上家の一家離散事件とそれにまつわる宝石の謎を追う中で、彼らを取り巻く人々の人間ドラマが展開していきます。

この作品では、「質屋」業界の裏側が見られること、そして次々に登場する「宝石」がわかりやすく解説されているところが魅力。普段、あまり触れる機会がない二者ですが、読みながら「へー」「なるほど」と雑学や知識が身に付く気分に。ちなみに「七つ屋」とは質屋を示す隠語。イケメン顕定をはじめ個性豊かなキャラクターの活躍と、入り組んだ人間関係の謎解きもいよいよ佳境。現在単行本刊行は17巻、「Kiss」(講談社)にて連載中です。


スタイリッシュに描かれる
80年代の東京とバンドシーン


TO-Y 文庫版
TO-Y』/上條淳士
単行本全10巻のほか、文庫版やワイド版、2015年には30周年のアニバーサリーエディションも刊行。多くの漫画家やミュージシャンに影響を与えた作品。小学館

1985年から87年まで『週刊少年サンデー』に連載された上條淳士さんの『TO-Y』。 主人公はパンクバンドのボーカルだった高校生の藤井冬威(トーイ)。あるできごとをきっかけにスカウトされ芸能界入りした冬威が、業界の渦に巻き込まれながらも、自分が望む音楽を表現するため駆け抜けていく姿を描いた作品。多くのバンドマンや漫画家に影響を与え、「バンド漫画の金字塔」と呼ばれています。

80年代当時の東京の街と音楽業界がスタイリッシュに描かれ、 シャープな線で描く人物や風景が文句なくかっこいい『TO-Y』。ときは音楽番組全盛期、登場人物には「あの人がモデルなのでは?」という歌手やアイドルも。バンドには興味がないという方も、勢いのあるあの時代が懐かしく思い出されるはず。全編に疾走感満載で、衝撃のクライマックスと、ぐっとくるラストカットは、現代でも色あせない名シーンです。

美木ちがやさんがブルーの洋服を身に纏って微笑んでいる

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