作家、料理家として活動されている、樋口直哉さん。樋口さんは普段使うキッチンツールにこだわっています。上質で使いやすい、さらに使っていると心地が良い、そんな「ちょうどいい」と感じられる、お気に入りキッチンツール達を紹介していただきました。
▼【樋口直哉さんのキッチンツール/前編】値段ではなく、いいものかどうかで選ぶ。
からの続きです。
使う心地、気持ちも大切。
使っているピーラーは友人のシェフから「これ、いいですよ」と教えてもらった。ピーラーは皮剥きだけではなく、根菜をリボン状に切るなどいろいろ使える。例えば硬いごぼうの千切りはピーラーで薄くそいでから、包丁で刻むときれいにできる。ある用途に特化した道具も魅力的だが、複数の用途をこなす懐の深さも欲しい。
ピーラー
菜箸やトングも様々な用途に使う道具だ。菜箸は時々、紐でくくってあるものを見かけるけれど、あれは使いづらくて仕方がない。紐がついていないものを探して、この竹箸に行き着いた。太さも具合がよく、長さもちょうどいい。
菜箸用途の竹箸
安心安全トングとミニトング
テスコムの低温コンベクションオーブンはトースターとしても使っている。最近の高価なトースターの方がおいしくパンが焼けるのだが、オーブンとしての機能が優れているので重宝している。AとBを比較して、Aの方が料理をよりおいしくできることがわかっていても、Bを選ぶこともある。ときには料理のおいしさよりも自分が気持ちよく台所に立てることが大事、という場合もある──それが「ちょうどいい」ということだと思う。
ひぐちなおや
服部栄養専門学校卒業後、フランス料理店や料理教室などで修業する。2005年『さよなら、アメリカ』で群像新人文学賞を受賞し、作家としてもデビュー。近著に『新しい料理の教科書』、『最高のおにぎりの作り方』などがある。本誌連載中の「考える料理」が人気。
●キッチンに関する記事、他にもいろいろ。
◎インテリアスタイリスト・洲脇佑美さんの台所で活躍する美しい台所道具たち【前編】
◎インテリアスタイリスト・洲脇佑美さんが自分のために選んだ台所道具。【後編】
◎かっこいい道具の宝庫!インテリアスタイリスト・洲脇佑美さんの美しい台所拝見。
『ku:nel』2021年5月号掲載
写真 伊藤徹也 / 取材・文 原千香子