【女ひとりで家を建てる⑤前編】自分のために建てた家は何と7軒!これが終の棲家か?!ついに完成した理想の平屋。

家は3度建てないとわからないと言われますが、これまで自分のために建てた家は7軒。そんなパワフルな女性〈クウネル・サロン〉プレミアムメンバーの井手しのぶさん。井手さんの家づくり顛末を6回にわたりお届けする連載第5回目・前編です。今度はついに完成した7軒目の鎌倉材木座の平屋の話。井出さんのプロとしての経験をとことん凝縮した、素敵なお家を見せていただきました。

7軒目・鎌倉材木座の家

まずは予算ありき。平屋の小さな家ということもあり、木造在来工法を選択。 片流れの屋根に薪ストーブの煙突がちょこんと覗く可愛い外観が目を引く。

緑に囲まれた芝生の庭の奥にちょこんと建つ小さな平屋。井手さんが終の住処として自ら設計した家がとうとう完成した。モルタル仕上げのシンプルな外壁に、大きな窓と回転式の青いドア。

アンティークやアーティストものの厳選された家具と小物。

「デザイン的に雨どいは好きではないから」と、 雨水が自然に流れるギリギリの傾斜をつけた片流れの屋根。コンパクトな中に美しさへのこだわりと、プロとしての経験をとことん凝縮した家だ。

モルタルの床と珪藻土の壁というシンプルな空間に、アンティークやアーティストものの厳選された家具と小物が映えるリビング。

譲れなかったのは平屋にすること。生活を共にするのは愛犬のジャックと昌夫、気ままな愛猫ブチャと虎一。老境のジャックに階段は負担になるし、1人と4匹の家族構成でそもそも二階建ての必要性はない。

古い医療用のワゴンは植物台に。

「イメージしたのは地面から生えてきたような家です。極力自然のままを残し、 家自体が主張しすぎずに周囲と調和できるような。私の理想はル・コルビュジエが両親のために建てて、お母さんが百歳まで暮らしたスイス・レマン湖畔の家。 シンプルでコンパクトだけど、とても豊かで美しい。ずっと憧れでした。以前、千葉のいすみ市にそんな理想がかなえられそうな水辺の土地を見つけたのですが、考えた末に手放しました。だれひとり知 り合いがいないなんて無理(笑)。昨年この土地に出合った時は、理想の平屋がかなうと直感しました。湖はありませんが」

幅3mの大きな引き込み窓を全開にするとご覧の通り。庭の景色が1枚の絵のように美しく切り取られる。

『ku:nel』2016年11月月号掲載

写真 柳原久子/取材・文・構成 佐々木信子(tampopo組)

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