在仏6年目の<クウネル・サロン>プレミアムメンバーの松永加奈さんのフランスレポート。今回は日本発の「MANGA」について。「MANGA」はアニメを表す言葉として一般化しているのだそう。その歴史や現在人気の作品について調査してくれました。
フランスではロックダウンによる規制が段階的に緩和され、映画館も営業を再開。私も久しぶりに劇場へ足を運び、ようやく劇場版「鬼滅の刃」を観ることができました。報道によれば、同作の公開初日の観客動員数は5万8000人、同じ日のフランス国内での動員数1位だったそうです。
ヨーロッパの中でも、特に日本のマンガ・アニメのファンが多いと言われるフランスでは、今から40年ほど前に日本のアニメ(当初は”ハイジ”や”ガッチャマン”)の放映がスタート。続いて90年代に出版された「ドラゴンボール」をきっかけに、マンガがブームになったんだとか。
現在30~40代のフランス人に訊くと「子供の頃に”聖闘士星矢”を観ていた」「”キャプテン翼”が好きだったよ」という答えが返ってくるので、彼らにとって日本のアニメは「海外の作品」というより、もっと身近なものなんだなとちょっと驚きます(逆に私にとって「フランスのアニメ」は外国のものという印象が強いので)。今ではその世代が親になり、子供たちと一緒に日本のアニメを観たり、マンガやゲームを楽しむことも日常に。「面白そう」と思えば新作や情報をリアルタイムで知ることができる、ネットの影響も絶大だなと感じます。
本屋さんには「MANGA」(日本のマンガは単語化しています)のコーナーがあり、量販店のブックコーナーにはランキングも設置。ちなみに先日の1位は「ONE PIECE」で、10位以内は日本のトレンドとほぼ変わらないラインアップ。話題の「鬼滅」は平積みされていました。
テレビでは日本アニメの吹き替え版が放映されていますが、最近は新旧の作品が観られるアニメ専門の有料サイトが人気のよう。パリ市内にはコアなファン向けの専門ショップや、蔵書数も本格的なマンガ喫茶もスタンバイ。こちらには日本のお菓子や雑貨、お弁当まで揃っていて、日本好きのみならず、ランチ利用のフランス人もいるとか。
また、パリでは毎年「Japan Expo」という大規模なフェスが開催され、マンガやゲームのほかに、同人誌発売やライブなどの企画もの、書道や折り紙まで紹介されます。こうしたイベントは大小さまざまあり、開催時期になると各地から熱心なファンや日本文化好きな人たちが大集合。日系の書店やアニメショップがあるエリアにコスプレ風の人たちが行き交い始めると「ああ、今年もその時期だな」と思うくらい、パリの風物詩です。
実は「日本のマンガやアニメはごく一部の人だけの人気では?」と思っていた私。でも見渡してみると、メトロで熱心に「鬼滅」を読む少年やスマホで「進撃の巨人」(フラ語字幕付き)を観る大人、今話題の「呪術廻戦」を全巻まとめ買いしていくパリジェンヌがいて、イメージしていた以上にそれは一般的でした。異文化交流は難しいことが多いけれど、フランスで日本のマンガやアニメは「興味がある人はすぐ手に取れる」くらい気軽な存在のようです。
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