島田順子さん、スタッフと一緒に久しぶりに帰った田舎の家。【フランスの日々、日本の日々】
日本のメディア取材もあって、久しぶりにブーロンマーロットへ。ともにコレクション制作に携わったスタッフを労ったあと、ひとりきりの孤独を味わっていると、感謝の気持ちがあふれました。
誰もいない家でひとりきりを味わう贅沢。自分に感謝しています。
パリで新作のプレゼンテーションを終えて、ほっとする間もなくブーロンマーロットに帰りました。ゆっくり疲れを癒したいところでしたが、今回の滞在は主に取材のためで、到着してすぐにスタッフとともに準備を始めました。数ヶ月ぶりの帰宅だったから、まずは掃除からスタート。
もちろん、日本から来てくれる取材チームへのおもてなしの支度がメインでしたが、コレクションのためにずっと詰めて仕事をしてくれていた、スタッフを労いたいという気持ちもあったんです。
ところが、あいにくの休日で近所のレストランや商店、スーパーマーケットはみんなお休み。仕方なく、コンビニで買ったデリやパリから持ち込んだものでアレンジして、アペロのようなおつまみを用意しました。
その日は信じられないくらいのいいお天気! 昼間は暖かかったので、お庭で皆さんに楽しんでいただこうと、ガーデンテーブルにはブルーのクロスをかけて。
アペロは庭で。屋外というだけで食事が楽しくなります。
※プリントのチュニックは『JUNKO SHIMADA』のアーカイブ。
私の愛するお庭では、かわいい椿の花が咲き乱れていたから、それを花器に飾ったり一輪挿しに入れたり。いくら時間がないとはいえ、やっぱり何もしないのは嫌だから、簡単だけどその場でひらめいたセッティングをしてみました。
椿を投げ入れているのは、シンプルなガラスの水差し。
「本当に時間がなくて、グラスやお皿は普段使っているものばかりです」
室内はまだ少し肌寒かったので、暖炉に火を入れて。
忙しいとなかなか来られないブーロンマーロット。でも久しぶりに戻ったら、澄んだ空気が胸に沁みます。
いつも皆さんにお話ししているように、私の庭では春になると長い冬を乗り越えた植物が芽吹いて花が開きますし、小鳥がやって来て歌を歌ってくれる。庭で息を深く吸って吐いていると、しばらくはデッサンを描かなくていいとか、1週間くらいぼんやりしていいんだとか、そういう解放された実感がじわじわとわいてきます。
貧乏性だからあれもこれもやらなきゃと思うけれど、この年齢まで走っているんだからたまにはいいじゃない、と自分でいろいろな理由をつけてふーっとひと息つきます。飼っていた動物たちがいなくなり、娘たちも今は東京に住んでいるから、ここにいるとひとりきり。そういう時間は大切だし、ある意味とても贅沢な孤独。ここまでよくやってきたって、自分で自分に感謝しています。
2026年3月のコレクションでブランド設立45周年を迎えた『JUNKO SHIMADA』。順子さんの似顔絵やエッフェル塔、大好きなシャンパンを描いたユニークなクッキーが、メモリアルなギフトとして登場。
PROFILE
島田順子/しまだ・じゅんこ
千葉県館山生まれ。フランス在住。1981年設立したJUNKO SHIMADA DESIGN STUDIOが45周年に。2026-27秋冬でコレクション発表が90回目に。『島田順子 おしゃれも生き方もチャーミングな秘密』(マガジンハウス)など著書多数。
『クウネル』2026年7月号掲載
写真/松永 学、取材・文 /綿貫あかね、編集/黒澤弥生
SHARE
『クウネル』NO.139掲載
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