漫画家・東村アキコさんも夢中!脳を揺さぶられる「刺激的漫画」4作品

「ごく身近にあるエンターテイメント」として愛されている漫画。東村アキコさんは、どんな漫画に心動かされているのでしょうか。今回は脳を揺さぶられる「刺激的漫画」4作品について語っていただきました。

東村アキコさん/ひがしむらあきこさん

漫画家(47歳)
宮崎県出身。1999年に『フルーツこうもり』でデビュ ー。長男・ごっちゃんの成長を愉快に描いた育児エッセイ漫画『ママはテンパリスト』でその名を知らしめる。2015年に自身の半生を描いた『かくかくしかじか』でマンガ大賞を受賞。芸人・役者を抱える東村プロダクションの主宰も。動画配信やライブ開催などの活動も精力的に行っている。

読み始めたら止まらない!脳を揺さぶられる刺激的漫画

「これって、私のこと?」。いまを生きる女性たちのもやもやの核心をつき、心を揺らす『東京タラレバ娘』や『偽装不倫』など......。著作の多くがドラマや映画の原作になり、ときめきやワクワクを求めるマチュア世代にアツく支持されています。

漫画、どんどん読んでいただきたいです。50〜60代といえば、多感な頃に『ザ・少女漫画』が全盛。かつてはどっぷり楽しんでいた世代ですよね」。たとえ、しばらく漫画から遠ざかっていたとしても、「経験値」を活かし、気軽に読んでほしいと話します。

「いまは、あの頃とはちがう読み心地が味わえるかも。たとえば、主人公の女の子も、王子様を待っているだけではない。自分でどんどん動いたり、ヒロイン像も変わってきています」

過去に開催された「東村アキコ原画展」用に描き下ろした「オールスターズ」のポスター。そのほか作画の参考資料などが張られている。

「筆が早い」と評判の東村さん。2015年からは、iPad Proを使用したデジタル方式に。「失敗しても戻れて、慣れるとすごく楽」

こけし型の『東京タラレバ娘』の3人衆。「友人に頼まれて描きました」。右はお団子ヘアがトレードマークの東村さん。

若い世代の空気感やカルチャーを自然につかむのにももってこい。「若い子と話すときに『何を話題にしよう?』とか臆することが、私は全く無くて。それって、漫画を描いたり、いっぱい読んだりしているからだと思 います。若者のチャンネルにバッと合うんですよね。世代が離れているからノリがちがう、と線を引いてしまうのはもったいない。職場にいる若い子がよくわからないという方とか、漫画を読むと苦手意識が薄れると思いますよ」

【おすすめ1】少女漫画ならではのときめきに浸りたい方に

星降る王国のニナ』リカチ
身代わりの姫として大国に嫁いだニナ。大きな秘密を抱え、運命に翻弄されながら恋をするという王宮恋愛ファンタジー。既巻8巻。9巻は11月11日発売。506円〜(講談社・BE LOVE KC)

「ときめき、ファンタジーという王道の要素が詰まっていて、クウネル世代の方も違和感なく読める、古き良き少女漫画。いまそういう王道少女漫画はあまりなく、貴重な気がします。登場するお洋服が緻密で美しく、少女漫画の醍醐味ですね。時代も国も『ここではないどこか』の設定で、別世界にポンと飛ぶ感覚が気持ちいいですよね」

【おすすめ2】「まさか」のストーリーにスクロールの指が止まらない

26番目の殺人』原作:SUO 作画:アビディ井上
スマホやタブレット向けの漫画・小説アプリ〈ピッコマ〉で連載中。連続殺人鬼ジャン・ピルデュが、死刑執行の前日に記憶喪失に......というサスペンス。一部無料で配信されている。

アプリで配信している東村さんプロデュースの注目作。「サスペンス好きにおすすめです。原案は韓国のドラマの有名な脚本家の方で、『そんなことあるわけないじゃん!』と思いつつ、読みだすと止まらなくなってしまうジェットコースター展開。 縦スクロールをまずはこれから始めてみるのもいいですね」。ドラマ化も決定しています。

漫画カルチャーの変化といえば、デバイスの多様化もあります。いまはスマホやタブレットにコンテンツが溢れていて、いろいろな作品に手を出しやすいのです。とくにおすすめはウェブトゥーン。従来の漫画は横に向かって読むのに対し、スマホやタブレットで、縦にスクロールして読める漫画です。

「フルカラーで、絵の密度もスマホを意識したボリューム感。細かい字が読みづらいという世代でもすごく読みやすい。たとえば、旅行の移動中に、夜寝る前に......、気軽さがちょうどよく、ぜひ日常で楽しんでいただきたいです」

【おすすめ3】家族、恋人、友だち。 人間関係の妙が凝縮されて

ゆりあ先生の赤い糸』入江喜和
50歳の手芸教室の先生の夫がある日ホテルで昏倒。病院に駆けつけたところから、ドラマは動き、複雑な人間関係がていねいに描かれる。全11巻。550円〜(講談社・BE・LOVE KC)

審査員を務める「講談社漫画賞」で出合い、めでたく第45回の総合部門を受賞。「主人公が私たちと同世代で共感しやすく、ストーリーが圧巻。選考委員をする上で大事にしている『こんな漫画読んだことない!』という感覚が詰まっています。絵もきれいで読みやすく、『最近漫画から離れていて』という方への入門編にもいいですね」

【これもおすすめ】現代過去を行き来、練られたストーリーに脱帽

推しの子』赤坂アカ、 横槍メンゴ
『ヤングジャンプ』で連載中。前世の記憶を持ったまま、推しのアイドルの子どもへと転生した双子のアクアとルビーの物語。既刊9巻。各693円(集英社・ヤングジャンプコミックス)

「ちょっと激しいかも」と言いつつ、おすすめしてくださった話題作。「アイドルオタクの話かと思いきや、それだけでは全然なくて、先の読めない展開が衝撃的におもしろいです」。いわゆる転生もののファンタジー設定でありながら、サスペンス要素や、芸能界の光と影を描くなど、独自の世界観が魅力。2023年にはテレビアニメ化も決定。

『クウネル』2023年1月号掲載
写真/大森忠明 取材・文/鈴木麻子

SHARE

『クウネル』No.118掲載

私の人生を変えた本

  • 発売日 : 2022年11月18日
  • 価格 : 980円(税込) (税込)

IDメンバー募集中

登録していただくと、登録者のみに届くメールマガジン、メンバーだけが応募できるプレゼントなどスペシャルな特典があります。
奮ってご登録ください。

IDメンバー登録 (無料)