一冊の料理本との出合いによって、料理が楽しくなったり、仕事に繋がったり、生活がガラリと変わったり……。そんな、暮らしに影響を与えてくれたお気に入りの料理本について、大橋利枝子さんにお話を伺いました。
大橋利枝子さん/おおはしりえこ
『fruits of life』デザイナー(57歳)
スタイリストを経て、ファッションブランド 『fruits of life』を2018年に立ち上げ。大人の女性を品よく彩る上質な洋服を提案。
精進料理を気軽に作れるようになりました
出合いは京都の古書店。店先のワゴンに無造作に並べられたその本に、「おや」と惹かれたのだといいます。書名は『誰にでもできる精進料理』。「京都のお寺のお坊さんによる本だから、正真正銘の精進料理。並んでいるレシピは工程が3つくらいで、とても簡単そう。日常の献立に無理なく取り入れられそうと思いました。
以来、大橋さんの台所で、本のレシピは多数試され、「野菜料理」のレパートリーはどんどん増えていったのでした。「精進料理というと、難しそうと思ってしまいますが、要は、素材の味を生かした野菜の料理。そうわかったらグッとハードルが下がって、身近に感じさせてくれた一冊です」
「とにかく試す」が大橋さんのモットー。料理通のすすめなどで知った料理本はすぐに購入し、台所であれこれ実践。さまざまな料理家の影響を受け、 日々の食卓を豊かにしてきました。本棚には何十冊もの料理本が並び、どの本にもお気に入りのレシピがあります。
『クウネル』2023年1月号掲載
写真/市原慶子 取材・文/鈴木麻子