一冊の料理本との出合いによって、料理が楽しくなったり、仕事に繋がったり、生活がガラリと変わったり……。そんな、暮らしに影響を与えてくれたお気に入りの料理本について、伊藤千桃さんにお話を伺いました。
伊藤千桃さん/いとうちもも
「桃花源」主宰(72歳)
1950年生まれ。「桃花源」の屋号で、神奈川県・葉山を拠点にケータリングや民泊を行う。オリジナルの和ハーブティーを販売予定。
Instagram:@toukagenhayama
お菓子作りの“きほんのき”をたたき込みました
「この本は子どもが小さかった頃、クリスマスにジンジャークッキーを作りたくて買ったもの。料理教室に行く時間もなかなかとれなかったし、携帯で調べる時代ではなかったから、本を見ながら料理を少しずつ覚えていきました。昔の本にしては、載っているメニューもおしゃれ。私の教科書です」
持っている料理本は、工程ごとに写真で丁寧に解説するこのケーキづくりの本のほか、『健康漬け物』『365日のお菓子・おやつ・パン』など、5冊程度。どれも今でもよく見返すそう。「基本が詰まっていてわかりやすいので、手放せません。今は自己流で作っていますが、家族のために買ったこの本が私の料理の原点。今は“おいしいものができたかも”と思いながら、ワインを飲みながら食べるのが、1人の時間の楽しみになっています」
『クウネル』2023年1月号掲載
写真/大森忠明 取材・文/赤木真弓