寝っ転がっているポーズの招き猫や、お腹ぽってりのたぬき、空を見上げている小うさぎなど、愛嬌のある表情の動物たちの「最中」をご紹介。形を思う存分愛でた後は、頭から尻尾から、お好きなアングルでパクリ。「最中」ってこんなにおいしかったっけ? と再認識できるかも。
「最中」の名前のルーツは平安時代
香ばしいぱりっとした皮と、中に詰まった小豆餡や白餡の味をダイレクトに楽しめる「最中」。名前の由来は約1200年前の平安時代。宮中の宴の席で出されたお菓子が句にして詠まれ、江戸時代にその句にちなんだ「最中の月」というお菓子の誕生が起源と言われています。
明治以降には金型技術の進歩のおかげで、さまざまな模様や形の最中の皮が誕生。その頃は手焼き型で、鯛焼きのように1枚1枚手焼きをしていたようです。日本古来の職人さんの技が受け継がれてきた和菓子の代表格ですね。
今では皮の模様や形も実にさまざま。日本中の「最中」をコレクションしたらおもしろいだろうなと思いますが、そんな中でもとびきりキュートな猫・たぬき・うさぎ型を発見。自分癒しのおやつに、ギフトにもおすすめの3匹(!)です。
#01
寝っ転がる招き猫の愛らしさに悶絶
縁起のいい『お菓子司 白樺』の〈たらふくもなか 〉
東京の下町・錦糸町で戦後まもなく開業した「お菓子司 白樺」。毎朝焼き上げる名物のどら焼きでも有名ですが、もう一つの主役が多くのファンを持つ〈たらふくもなか 〉 。のんびり寝そべっているちょっとぽっちゃりの招き猫。そのゆるいポーズと表情の愛らしさに、箱を開けた瞬間からトリコになるのは確定。
そんなキュートな猫型の皮の中には白餡がぎっしり。「白いダイヤ」ともいわれる希少な北海道産の白小豆で炊いた黄金色の餡で、あっさりとした中にも独特のコクがあり、白小豆の豆本来のおいしさが味わえる逸品です。日本茶以外にも紅茶やコーヒーのお供にもぴったり。
#02
注文を受けてから餡を詰める
皮も香ばしい『狸家』の〈狸最中 〉
JR王子駅から徒歩5分ほど。王子神社の近くに軒を構える小さな和菓子屋さん。3代目のご主人がひとりできりもりするこの店の主役は<狸最中>。店内には狸の置物に並んでコロコロと丸っこい狸の最中が陳列。2種類あって、皮は白い方が白餡、茶色い皮が小豆のこし餡。ともに餡の小豆と白いんげん豆は北海道産とのこと。
こちらの「最中」のポイントは、注文を受けてから餡を詰めてくれること。特別に出来立てを店頭でいただいたら、皮がパリッとして歯応えよく、茶色い方は特に香ばしくてこれぞ「最中」の醍醐味。箱もちょっとレトロでかわいくてお土産にもぴったりです。
ご主人おひとりでの作業なため、全国発送はありませんが、ちょっと足を伸ばしてのおやつ選びもおいしくいたただけるポイント。なくなり次第終了のため、訪れる際は1本連絡入れるのがベター。
狸家
住:東京都北区王子本町1-23-1
営:9:30〜なくなり次第終了(目安は17:30頃まで)
電:03-3908-3004
休:日曜休(他曜日も休む時あり)
#03
とげぬき地蔵のアイドル!?
柚餡やチョコ、6種の餡を選べる 『みずの』の〈 こうさぎ最中〉
とげぬき地蔵商店街入り口から約100メートル。庶民的な「街の和菓子屋さん」の佇まいで、店頭は常に賑やか。元祖 塩大福と並んで名物なのが、長い耳と空を見上げるような表情がかわいい「こうさぎ最中」。ころんと小さな形の中に餡がたっぷり。変わり餡も好評です。
皮に使うもち米は北陸産。皮の色は、白、ピンク、グリーン、茶色と4種類のラインナップで、餡は丹波大納言、こしかの子、変わり種としてあんず、ゆず、白あん小いちご、チョコレート餡もセレクトできます。イラスト付きの個別包装でギフトにも最適。全国発送あり。
文/牧田ちえみ